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「迅速」「痛み軽減」救命具 小浜海保、渡部さん考案 

2020年9月10日 05時00分 (9月10日 09時39分更新)

 救急の日 訓練で威力“証明”

「漁船や釣り船に積んでおいてもらいたい」と話す渡部さん=いずれも9日、小浜市川崎で

 小浜市の小浜海上保安署は九日、釣り客が増える秋のレジャーシーズンを前に、独自開発した簡易救命具を使った海難者救助訓練を行った。体に巻き付ける救命具は、入庁五年目の一等海上保安士渡部慎也さん(25)が救助活動の経験をもとに考案した。材料は百円均一ショップやホームセンターで安価で手に入る筒状の発泡ポリエチレンやロープ。浮力が救助活動を楽にする。溺れている人の体をいたわると同時に、素早い救出を可能にした。 (鈴村隆一)
 五月に小浜港沖であった八十三歳の男性の救助が開発のきっかけになった。釣り中に浸水したボートを海保の巡視艇が発見したが、男性はすでに衰弱。はしごを使って自力で巡視艇に上ることが困難だったため、ロープを体に巻き付けて引っ張り上げた。現場で救助に参加していた渡部さんは、高齢者の体にロープが食い込む様子を見て、「痛そうだった。何とかならないものか」と対策を考えるようになった。

「あんしんや」による海難者の引き上げ訓練

 渡部さんの名前にちなみ「あんしんや」と名付けられた器具は、子ども用のプール補助具として売られる長さ一メートル二十センチ、直径六センチの筒状の発泡ポリエチレンを三つか四つに切断。中心の穴にロープを通し、手早く体に巻けるようロープの先端を輪にして、片方にスナップフックを取り付ける。補助具同士の間は結び目で分離させる。
 カラフルな素材は投げられた海難者にも見つけやすい。引き上げ時には、丸いスポンジ素材が体重のかかる部分の食い込みを防ぎ、痛みを軽減。意識がない人にも、海保職員の手で素早く装着できる。約二カ月の試行錯誤や検証訓練を経て、実用化に至った。
 同保安署前の海上であった訓練では、巡視艇あおかぜの乗組員が、ロープにつないだ「あんしんや」を溺れている人に投げ、「自分で体に巻けますか」と指示。「痛くないですか」などと声を掛けながらボートに引き寄せ、船まで引き上げた。一万円以上はする市販のレスキューチューブに比べ、材料費は十分の一程度。渡部さんは「誰でも簡単に作れる。もしもの時のために、漁船や釣り船に一つは備えておいてほしい」と呼び掛けている。

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