<備える> 東海豪雨20年 防災気象情報きめ細かく

2020年9月7日 05時00分 (9月7日 05時01分更新)
 死者十人、約七万棟の浸水被害が出た二〇〇〇年の東海豪雨から十一日で二十年を迎える。大雨警報や洪水警報といった防災気象情報はこの間の災害予測技術の進歩により、水害の種類や危険度、地域を特定できるように「高度化」が進んだ。一方で、情報の種類がきめ細かくなった分、逆に分かりにくいとの声もある。命を守るには、情報をどう実効的な行動に結び付けるかが課題になっている。 (榊原智康)
 「当時は警報までしかなく、言葉の表現で工夫するしかなかった。『過去数年間で最も土砂災害の危険性が高くなっている』などと伝えたが、今であれば土砂災害警戒情報が出せる」
 名古屋地方気象台の向井利明・気象防災情報調整官は、警報より上の情報ができたことによって、住民により強い警戒を呼び掛けられるようになったと説明する。
 東海豪雨を受けて〇一年に水防法が改正され、それまで国が管理する河川が対象だった洪水予報が都道府県が管理する河川でも可能になった。豪雨で大きな被害を出した新川の予報は全国に先駆け、〇二年五月に始まった。
 その後も各地で豪雨災害は頻発。それに合わせるように防災気象情報も拡充されていった。〇五年に土砂災害警戒情報、一三年に特別警報の運用がスタート。一七年には、浸水害と洪水の発生リスクを地図上に五段階で色分けして表示する「危険度分布」が導入された。
 一方、避難に関しては〇五年に避難準備情報を新設。一九年には、住民が取るべき行動を五段階で示した「警戒レベル」が導入された。市町村が発令する「避難指示」などの避難情報と、防災気象情報を五段階に整理し、住民がどんな行動を取ればいいかを示した。
 東海豪雨時、三段階、三系統、八種類だった防災気象情報は現在、五段階、四系統、二十六種類に。情報量が増えたため、気象庁が実施したアンケートなどでは「分かりにくくなった」との声が寄せられたという。
 これに対し、向井さんは「種類は増えたが、段階的に『レベル化』されたことによって、分かりやすくなったのではないか」と強調する。その上で「情報をいかに防災行動に結び付けるかは『永遠の課題』。どんなに情報が高度化されても、それを理解して行動に結び付けていくのは人間。自らの命は自らが守るとの意識を持ってほしい。今後も粘り強く啓発活動を続けていく必要がある」と話している。

 東海豪雨 2000年9月11日から12日にかけて東海地方を襲った豪雨。名古屋では気象台観測史上最高の時間雨量97ミリを記録し、総雨量としては年間雨量の3分の1に当たる567ミリに上った。名古屋市やその周辺の庄内川、新川、天白川などで堤防決壊や浸水被害などが発生。矢作川でも上流域では土石流などの土砂災害が、中下流域では河川氾濫や内水氾濫が起きた。


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