浜松・二俣川に行楽客殺到でトラブルも 住民、善意に期待

2020年9月6日 05時00分 (9月6日 05時00分更新)
二俣川で遊ぶ家族連れら=浜松市天竜区で

二俣川で遊ぶ家族連れら=浜松市天竜区で

  • 二俣川で遊ぶ家族連れら=浜松市天竜区で
  • 日曜日の早朝、会員たちが岸辺の草刈りに精を出す=浜松市天竜区で
 「極暑」だった今夏、新型コロナウイルス感染拡大の余波もあり、これまで行楽地と思われてこなかった浜松市天竜区市街地の二俣川に人が殺到した。会員制交流サイト(SNS)を通じて新規の客が増えたらしく、ごみの放置や近くのお店の駐車場・トイレを巡るトラブルもあった。コロナ禍で突然沸いた人気の土台には二十年近い住民の地道な美化活動があり、地元の人たちは川への愛着の広がりを願っている。 (南拡大朗)
 「今年は特別だったね」
 八月最後の日曜の早朝、河川敷で草刈り機を手にした「二俣川の岸辺をきれいにする会」の会員たちは異口同音に話しだした。
 お盆期間中、ここに午前八時ごろから次々とワゴン車が下りていき、すぐ近くのJA遠州中央の農産物直売所の駐車場に止めたり。周辺は水深が浅いため小さな子どもが入りやすく、川の中を歩いたり浮輪に乗ったりするにぎやかな光景が連日続いた。
 正確な人出は分からないが、堤防沿いの栄林寺の桜井孝順住職(73)は「増えてきたのは二、三年前。今年はさらに三、四割多かった。海水浴場の閉鎖や、上流が国道の通行止めで行きにくくなったからでは」とみる。
 夜通しバーベキューを楽しむ大人のグループも現れ、放置されるごみの量は激増した。河川管理者の県によるとお盆明けに職員が出動し、住民が袋詰めしたバン二台分を処分場に運んだ。現地の担当者は「昨年のお盆も今年のゴールデンウイークもこんな対応はしませんでした」。
 駐車場の問題もある。JA遠州中央天竜営農センターは苦肉の策として昨年、直売所の一部の利用を「公認」し、店の客の分を別に確保した。ところが今年は無視する人や裏の職員用に止める人も。片桐正博センター長は「防犯上も好ましくないが対応策は実際ない」と悩ましげだ。定休日に「なぜトイレを閉めているのか」と強い口調で苦情もあったという。
 もともと、この辺りはずっと水遊びができたわけではない。郷土史料を見ると昭和三十(一九五五)年ごろにふんどし姿で泳ぐ子どもの写真があるが、その後生活排水などの影響で水質は悪化した。「泥水みたいでとても泳ぐ気にならなかった」と話す人もいる。
 二〇〇一年から下水道が普及して水質は再びよくなり、〇二年に県が大規模な護岸工事をしたことで散策できるようになった。翌年住民有志で結成した「きれいにする会」は、快適に遊べるようにと年間六回の草刈りを続けてきた。
 昔からの行楽地と違って駐車場代などで維持費用を賄う仕組みはなく、地域外から来る人との接点は少ない。会は「一日会員証」を配って関係を築こうとしたが、会の世話人代表の渥美英雄さん(82)は「人が増えすぎて通用しなくなってきた」と寂しげだ。
 コロナ禍で人と顔を合わせにくくなった時代、それでも渥美さんは善意に期待する。「毎年来る人はこの川が好きで来てくれる。ネットで情報があふれたなら、好きという気持ちも発信も広がってくれるはずだ」

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