パラ、猛暑対策に苦心 来夏も「今年並み」気温想定

2020年9月5日 13時04分 (9月5日 13時08分更新)

昨年のパラ陸上世界選手権女子400メートル(上肢障害)の予選を終え、水分補給する重本沙絵選手=ドバイで(共同)

 パラアスリートにとって暑熱はパフォーマンス低下だけでなく命の危険につながることもある。今年八月の東京都心は気象庁によると三五・〇度以上の猛暑日が観測史上最多となる計十一日で、東京パラリンピック開幕一年前となった二十四日以降も平年値を大きく上回る暑さが続いた。選手を守るため、各競技で入念な対策が進められている。
 二〇〇四年アテネ大会の車いすマラソン女子などでメダルに輝いた土田和歌子(八千代工業)ら四選手が参加して都内で夏季合宿を行ったパラトライアスロンの日本代表は、最高気温が三二度を超えた三十一日に屋外でランのタイムトライアルを実施した。日本トライアスロン連合でパラ担当の富川理充(まさみつ)チームリーダーは「(想定される)暑さの中で、どれぐらいの能力を発揮できるのかを確認することだ」と狙いを説明した。
 国際トライアスロン連合(ITU)は二月に「暑さに打ち勝て」と題した暑さ対策の手引書を発表。発汗機能が低下して体温調節が難しい脊髄損傷の選手や、路面からの放射熱を受けやすい車いす選手へのリスクを解説している。脊髄損傷の土田選手は熱中症を発症しやすく、環境への慣れが重要課題。富川さんは「さまざまな情報をいち早く発信するITUの姿勢はありがたい」と感謝する。
 陸上は五、六両日に埼玉県熊谷市で開催の日本選手権を来年に向けたテストと位置付ける。深部体温を下げる氷入りの水風呂「アイスバス」を用意するほか、保冷剤が入った「アイスベスト」の着用を選手に勧める。猛暑の下で行われた昨年の世界選手権(ドバイ)でも試し、効果は検証済み。日本パラ陸上競技連盟の指宿立(いぶすきたつる)強化委員長は「一年後も、今年ぐらいの酷暑は予想している」と話し、対策に抜かりはない。
 各競技団体や東京五輪・パラリンピック組織委員会は、気温だけでなく日射など熱環境や湿度も取り入れた指標で熱中症の危険度を示す「暑さ指数」(WBGT)も注視する。八月は環境省が指針で「運動は原則中止」と定める三一度以上の日が開幕一年前の二十四日以降の八日間で五日もあり、七~八月の五輪期間のペースを大きく上回った。
 組織委幹部は「想定では五輪の方がWBGTが高いことになっているのに」と話しており、来年も同じような暑さとなる想定の上で対策を再考する必要がありそうだ。

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