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現代スポーツ 実は不自由 研究者らあり方、課題を議論 金沢でイベント 

2020年9月5日 05時00分 (9月5日 10時16分更新)
アートを通してスポーツの本質について議論したトークイベント=8月29日、金沢市の石引パブリックで

アートを通してスポーツの本質について議論したトークイベント=8月29日、金沢市の石引パブリックで


 金沢21世紀美術館で開催中の展覧会「de−sport : 芸術によるスポーツの解体と再構築」(二十七日まで)に合わせ、スポーツのあり方を考えるトークイベント「スポーツ、アート、社会」が八月二十九日、金沢市の書店「石引パブリック」であり、ビデオ会議システム「Zoom(ズーム)」で配信された。
 スポーツやメディアの人種差別などを研究する小笠原博毅神戸大教授、スポーツ社会学などが専門の山本敦久成城大教授、展覧会を企画した高橋洋介学芸員が、五輪など現代社会におけるスポーツのあり方や、新たな可能性などについて議論。イギリス現代史・文化研究者の稲垣健志・金沢美術工芸大准教授が司会を務めた。
 山本さんはオランダの歴史家ホイジンガが「ホモ・ルーデンス(遊ぶ人)」とした意味での「遊び」を取り戻す重要性を指摘。展示で「スポーツがいかに狭いところに閉じ込められていたかが浮かび上がった」と述べ、資本主義やデータ化などで失われるスポーツの偶然性をいかに取り戻すかを課題に挙げた。
 高橋さんは「スケートボードやスノーボードがサブカルチャーとして持っていた。形式から自由になって新しいスポーツをつくることは原点に回帰する思考を与えてくれる」と語る。スポーツにデータを重視したデジタル化が進む中で「いっそあらゆるデジタル化を解禁するなどして競ってみても面白い」と、新たなスポーツのあり方を提案した。
 小笠原さんは、プロテニスプレーヤーの大坂なおみさんやプロバスケットボールチームが黒人への人種差別に抗議する行動をとったことや一九八六年のサッカーW杯でのマラドーナの「神の手」のゴールなどを「ソーシャルな力」の例として挙げて、展示やこの日の議論から「身体を使う新たなコード、ルールを使って遊ぶことで、新しい祝祭的な環境を作り出すこと」の可能性を指摘した。
 イベントは来年に金沢市で予定されるカルチュラル・スタディーズ学会「カルチュラル・タイフーン」のプレ企画として行われた。 (松岡等)

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