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リオ金メダリスト「タカマツ」の始まりは”手紙” 別の道を歩み始める2人…また手書きのラリーが始まるのを願いたい

2020年9月1日 10時47分

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6年前のインタビュー時の高橋礼華(左)と松友美佐紀

6年前のインタビュー時の高橋礼華(左)と松友美佐紀

 日本バドミントン史上初の金メダルを獲得したペアは、きょう9月1日から正式に別々の道を歩む。高橋礼華(30)と松友美佐紀(28)の「タカマツ」ペアは解消。引退を発表した高橋が8月31日に競技生活を終えた。
 出会いがあれば別れがある。別れがあるのは出会いがあったから。まだ、「タカマツ」が金メダリストではなかった6年前のインタビュー。「出会い」を聞いた時、アナログ記者の胸が優しい味のスープが胃に染み渡るようにほっこりした。彼女たちが最初につながったのがメールでもSNSでもなく手紙だったからだった。
 仙台市の聖ウルスラ学院英智高でペアを組む前の小学生時代。高橋は奈良県、1学年下の松友は徳島県にいた。初めて顔を合わせたのは全国大会だったという。
 高橋「携帯とか持っていなくて文通をしたね」
 松友「そうそう。はやってましたね。手紙とお土産を交換するの。先輩とはそこから始まったかも」
 ―お土産は何を交換した?
 「忘れちゃった(笑)」
 コート上と同じように息の合ったコンビプレーを披露した後、2人とも「でも、手紙はどこかにまだあるはず」と口をそろえたのを鮮明に覚えている。ラケットをペンに握り替え、バドミントン少女は目を輝かせて近況や練習方法などを書き込み、報告し合った。
 手書きのぬくもり。「いいじゃないか!」。記者は昭和の交換日記世代。すぐに文通経験を持つ平成生まれのペアのとりこになった。リオ五輪の時は担当外でテレビ観戦だったが、終盤5連続ポイントでの大逆転「金」にはしびれた。逆境に打ち勝つ姿は、中年のさび付いた心に息吹を吹き込み、熱をもたらした。
 日本の歴史を塗り替えた「タカマツ」。小学生の時に手紙を交わし、高校からペアを組んだ。金メダリストとなり、結成13年でついに別れの時がきた。そういえば、“夫婦円満”に通じる考えも以心伝心だった。
 「この人と頑張りたい」
 8月19日に開いた高橋の引退会見で見せた2人の涙。お互いに「この人と頑張りたい」という思いを最後まで貫いた美しい“結晶”だったように思う。ほっこりする出会いがあって、純粋な涙の別れがある。理想的な惜別。別々の道を歩み始めた2人が、また手紙を交換できる日が来るといいなぁ…と今はちょっぴり思う。

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