げんべいの石神様 川底にお地蔵様 清めてお祭り

2020年9月2日 05時00分 (9月2日 05時00分更新)
げんべいの石神様が祭られているお堂

げんべいの石神様が祭られているお堂

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 昔、昔の話です。

 とても高貴な方が、姫街道を通って京の都(今の京都市)へ向かう旅の途中、下石田の村(今の浜松市東区下石田町の辺り)にさしかかった時のことです。体調を崩し、病に倒れてしまいました。お供の者や村人は懸命に看病をしましたが、あえなく亡くなってしまいました。悲しんだお供の者はお地蔵様を建て、ねんごろに供養しました。

 ところが、当時、お地蔵様を祭ったお堂の近くを流れていた天竜川は、たびたび洪水を起こし、いつの間にかお地蔵様は川に流されてしまいました。

 江戸時代になったある日のことです。お地蔵様のお堂が流された辺りに、大勢の人が住んでいました。村の中をげんべい川と呼ぶ川が流れていました。清水をたたえた川で、洗濯をしたり汚れた物を洗って流したりする人が日に日に増えていきました。

 「最近、この辺りでけがをしたり病に倒れたりする人が目に付く。何かのたたりではないか」

 「げんべい川を使った家に災いが多いようだが」

◆けがや病など災いなくなる

  どうしたものかと村人たちが悩んでいると、信心深い古老が話しました。
 「昔、この辺りで大切に祭っていたお地蔵様が流されて川底に沈んだと聞いたことがある。川を使う人が、知らないうちに踏み台にでもしているのではないか」
 さっそく川に入って探すと、川底に埋もれていた石神様が見つかりました。
 「旅の途中で無念の死を遂げた高貴な方を祭ったお地蔵様に違いない」
 拾い上げた石神様を清めて丁寧にお祭りすると、けがや病などの災いはぴたりとなくなったそうです。
 時を重ねると、石神様を祭ったお堂は荒れ果ててしまいました。すると、川遊びをしていた子がけがをしたり辺りに病人が増えたりしました。
 「夢枕に石神様がお出ましになり、みんなのことを心配していたよ」
 こんな言葉を聞いた村人がお堂を清めると、不思議なことに災いはなくなったそうです。
 げんべいの石神様は、今でも、人々を見守っています。

<もっと知りたい人へ>
見学場所:げんべいの石神様(浜松市東区市野町1378)
参考文献:「わが町文化誌 ふる里ながかみ」浜松市立長上公民館


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