<食卓ものがたり> 四日市とんてき(三重県四日市市)

2020年8月29日 05時00分 (8月29日 05時00分更新) 会員限定
四日市とんてきを調理する丹羽則夫さん=三重県四日市市で

四日市とんてきを調理する丹羽則夫さん=三重県四日市市で

  • 四日市とんてきを調理する丹羽則夫さん=三重県四日市市で
  • グリル四日市のとんてき
 黒っぽいソースをまとった、厚さ一センチほどの豚肉。一口ほおばると、迫力ある見た目とは違って意外に柔らかい。パンチのある味が口の中に広がり、思わず白いご飯に手が伸びた。
 三重県四日市市のご当地グルメ、四日市とんてき。グローブ状に切り込みを入れた厚切りの豚肉と、ニンニク入りの濃いめのソースが特徴だ。山盛りの千切りキャベツも欠かせない。
 市文化会館内のレストラン「グリル四日市」のオーナーシェフ丹羽則夫さん(62)によると、ソースを絡めて焼いた後、肉を取り出して煮詰めるのがこつ。「酸味が飛び、肉のうま味とよくまざる」と言う。
 とんてきは、戦後間もないころから市内の食堂で提供されていたとされる。安くてボリュームがあり、コンビナートで働く人や集団就職でやってきた若者たちのごちそうとして広まり、中華料理店、喫茶店、居酒屋など至るところで提供されるように。どの店でも千円前後で食べられる。家庭料理としても定着した。
 「市民に、四日市名物という意識はなかったと思います」と、四日市とんてき協会代表理事の小林慶太郎さん(51)は話す。独自の食文化をまちづくりに生かせないかと、有志と協会を設立したのは二〇〇八...

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