山桃さま 人々の病を治す お坊さま決意

2020年8月29日 05時00分 (8月29日 05時00分更新)
人々の願いを叶えると伝わる山桃の木

人々の願いを叶えると伝わる山桃の木

  • 人々の願いを叶えると伝わる山桃の木
 昔、昔の話です。
 山伏の姿をしたお坊さまが、旅の途中に犀ケ崖(今の浜松市中区鹿谷町の辺り)の近くにたどり着きました。
 お坊さまは、周りの村々で病気に苦しむ人のために、分け隔てなく進んで祈願しました。すると、厳しい修行で身に付けた神通力のおかげで、どんな病気も治すことができました。
 お坊さまの評判を聞き、病気に苦しむ人が、遠くの村からも訪れるようになりました。その度に、お坊さまは祈願を繰り返しました。
 

◆犀ケ崖に眠り願い事叶える

 ある日のことです。お坊さまは、祈願を待つ人々に向かって話し始めました。
 「私は、ここに穴を掘って生き埋めになります。私を埋めた土の上に、山桃の木を植えてください。病で苦しむ人は、毎年、山桃の実が結ぶまでにこの地に来て祈ってください。土の中の私は、末永く、どんな病も治すために祈願を続けます」
 人々は何度も止めたものの、お坊さまの固い決意に従って、大きな穴を掘りました。穴が出来上がると、お坊さまは周りを見渡して深々と頭を下げました。穴の底で、空気を通すために作った竹の筒を持つと、「どうぞ、土を私の上にかけてください」と話しました。
 人々は、お坊さまに教えてもらった念仏を唱えながら、涙ながらに土をかぶせました。お坊さまを埋めた土の上に、竹筒が出ていました。穴を通して、お坊さまが唱える念仏と鉦の音が、いつまでも聞こえてきました。
 今までお坊さまに祈願を頼んでいた人々は、空気穴から聞こえるかすかな音に、手を合わせて拝むようになりました。こうしてお坊さまは大往生を遂げたのです。
 人々は、お坊さまと約束した山桃の木を植えました。すると、お坊さまのお言葉の通りに、山桃の実が結ぶまでに願い事をすると、どんな病気も治すことができたそうです。
 願いの叶えられた人々が「山桃さま」と呼ぶようになった山桃の木は、犀ケ崖資料館(浜松市中区鹿谷町)の庭に、今でも残っています。 

<もっと知りたい人へ>
見学場所:犀ケ崖資料館 浜松市中区鹿谷町25-10
参考文献:児童向け「浜松の伝説 上」渥美実

関連キーワード

PR情報