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誰も気づけなかった競走馬の妊娠「競走現場の人たちでは分からない」ばんえい競馬の珍事件で判明した“妊婦”の見た目

2020年8月27日 17時01分

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ばんえい競馬=写真はオレノココロ、騎手は鈴木恵介

ばんえい競馬=写真はオレノココロ、騎手は鈴木恵介

◇獣医師記者・若原隆宏の「競馬は科学だ」

 馬が騎手と重りを載せた鉄ソリを引いて競う帯広ばんえい競馬で16日に“珍事件”があった。現役馬が競馬場内の厩舎で出産。翌日に出走を予定していたが、取り消した。16日の早朝に見覚えのない子馬が発見されて、妊娠と出産が発覚。父馬は不明だという。この件で管理する谷あゆみ調教師は、管理馬の体調管理に関する注意義務を怠ったため、戒告処分となった。
 出産したタケノセーイコーはこの時点でキャリア1戦の3歳牝馬。7月10日に能検を突破し、8月3日のC2-5組戦でデビューしているが、第2障害を越えられずに競走中止している。ばんえい記念に出走するような一流馬を基準とすると、5歳でも若駒扱いされるばんえい競馬ではあるが、競走期が始まるのはサラブレッドと同じく2歳。3歳馬が古馬混合に格付けされるこの時期にデビューするのは、遅めのタイミングだった。
 中央競馬に関しては、日本中央競馬会競馬施行規程で、繁殖に供された馬の登録拒否および、登録馬が繁殖に供された際の抹消が定められている。
 一方で、海外のサラブレッド競馬では妊娠馬の出走は珍しくない。英国では妊娠120日までの牝馬は出走でき、例えば、2001年キングススタンドS(当時G2)を勝ったカサンドラゴーはグリーンデザートの子を受胎中だった。
 帯広市ばんえい競馬実施条例施行規則の中には、妊娠馬や経産馬に関する直接の文言はないが、競走除外規定を定めた第47条の(3)に「当該馬が事故その他の理由により出走することが不適当であるとき」があり、出走取消となった。
 外野から見て、最大の疑問点はやはり「分からないものなの?」というところだろう。このニュースを聞いて記者は1週間待った。先週末の札幌開催に、ほぼ同年代で馬の繁殖に関して最も信頼の置ける専門家が開催実務で来た。彼の意見を直接聞いておきたかったからだ。「乳が張ったりする兆候はあったかもしれませんが、繁殖実務にあたった経験がある人でないと分からないでしょう。だから競走現場の人たちでは分からないでしょうね。外見も、僕だってサラブレッドならともかく、ポニーなんかだと分からないですもの」。タケノセーイコーのデビュー時の馬体重は958キロ。やはり「あの重種の体格では分からないよな」と思っていた自分の所感は、的外れではなかったらしい。

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