実はスピン“1軍最少レベル”…でも阪神・高橋の直球はなぜ「めちゃくちゃいい」のか データ超えた強み
2020年8月26日 11時31分
渋谷真コラム・龍の背に乗って
◇25日 阪神5―1中日(甲子園)
タフな戦いになることは、始まる前からわかっていた。今季2勝1敗。通算で7勝13敗。この数字が信じ難いほど、阪神・高橋のポテンシャルは高い。
この日も112球の過半数はストレートだった。最速150キロ。しかし、高橋の特長は球速ではない。いわゆるキレ。さぞやスピンの効いた球質なのだろうと思っていたが、トラックマンのデータはそうではなかった。彼のストレートは「少」と「低」。回転数が最多でも2100。平均では1950前後しかない。例えば巨人の菅野は最多で2600、平均で2400程度。1軍のローテーションを任される投手では、高橋は最少レベルの数値である。
加えて、リリースポイントが低い。全投手の平均は地面から170センチ程度だが、高橋は158センチ。少なく、低い。回転は多い方がいい。リリースポイントは高い方が角度がつく…。素人が思い付く理想と、トラックマンが示す高橋のストレートは真逆だった。
同じ東都リーグの1学年違い。大学時代から高橋を知っている京田は「独特の、めちゃくちゃいい真っすぐです」と評した。2安打を放った阿部は「速く感じるし、下から浮き上がってくるイメージ」と話した。
データ解析も年月がたち、わかってきたことがある。投手の個性を示すのは、フォームや球種だけとは限らない。あるアナリストの言葉を借りるなら、いかに「平均から逸脱するか」だそうだ。球速、微妙な変化、ホップ成分…。平均から逸脱した球は、それだけで武器になる。打者の脳内に蓄積されたデータにはないからだ。平均よりも回転せず、12センチ低いところから飛び出す高橋のストレートに、中日打線はねじ伏せられた。
トレーニングで球速や回転数を、ある程度アップさせることは可能だろうが、減らすのは無理ではないか。人と違う…。その意味と強みを思い知らされた。
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