<EYES> 教育哲学者 苫野一徳さん 教員養成にも「探究」

2020年8月27日 10時57分 (8月27日 10時58分更新)
 将棋の藤井聡太さんが、棋聖の初タイトルを獲得した際の会見で掲げた色紙の言葉、「探究」。実は近年の教育界においても、最も重要なキーワードとして注目されているものだ。出来合いの問いと答えが中心の学びから、自分なりの問いを立て、自分なりの仕方で、自分なりの答えにたどり着く、そんな「探究型の学び」への転換が、今、目指されている。
 再来年度から完全実施される高校の新学習指導要領では、「総合的な学習の時間」が「総合的な探究の時間」へと変わる。「地理探究」や「理数探究」など、「探究」の名を冠する科目も登場する。小中学校でも、「探究」はもちろん重要なキーワードである。
 背景には、大きな時代の変化がある。言われた通りのことを勉強していれば幸せになれるという神話は、もはや共有できない時代。将来どのような人生を送るにせよ、子どもたちには、自分なりの問いと答えを「探究する力」を保障する必要がある。
 そんな教育を実現するための鍵となるのが、教員養成だ。子どもたちの「探究」を支え推進できる教師は、自らもまた探究者でなければならない。だから学生たちには、そんな「探究」の経験をたっぷり保障する必要がある。しかし多くの教員養成の現場で中心的に学ばれているのは、今なお、自分たちが教えることになる各教科の内容である。
 教師を目指す学生たちには、出来合いの問いや答えを勉強する以上に、自ら問いを立て、それを個人やチームで夢中になって探究していく経験をたくさん積んでもらいたい。そんなカリキュラムを、ぜひ実現していきたい。子どもたちの頼れる「共同探究者」「探究支援者」になるためには、私たち大人にこそ、そんな豊かな経験が必要なのだ。

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