元中日投手の前田さんが消防士の道に全力投球
2020年8月27日 05時00分 (8月27日 05時00分更新)
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元プロ野球中日ドラゴンズの前田(旧姓・川崎)貴弘さん(27)は二年前、生まれ育った津市で、消防士としての第二の人生のスタートを切った。「応援してくれた人への恩返しに」。その先に救急救命士という目標を見据え、中消防署で市民の命を守るべく日々奮闘している。 (杉山果奈美)
前田さんは津東高卒業。二〇一一年の夏の三重大会では、エースとしてチームを引っ張った。結果はベスト16だったが、一八八センチの高身長を生かした角度のある直球がプロから注目され、一二年にドラフト五位で中日入りした。
希望を胸に飛び込んだ華やかな世界。だが当時を振り返ると「自分は世間を知らなかった」。上下関係や練習の厳しさ、レベルの高い競争に毎日隠れて泣いていたという。右肩と右肘の故障も響き、思うような結果を出せずにいた。
一六年、二十三歳で戦力外通告を受けた。一軍での登板はわずかに一試合のみ。「まだやれるのに」と頭が真っ白になった。トライアウトにも参加したが、他球団からの誘いもなく、引退を余儀なくされた。
野球選手以外の選択肢を迫られた時、真っ先に思い浮かんだのが高校生の時、憧れていた消防士だった。野球と同じくチームワーク...
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