本文へ移動

リニア JR水試算、議論持ち越し

2020年8月26日 05時00分 (12月27日 00時11分更新)
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、国土交通省は二十五日、有識者会議の第五回会合を開いた。JR東海は、工事で出た湧水が一定期間、山梨県側に流出して大井川に戻せない問題で、他に工法や対策が難しいことを説明する資料を提出した。
 委員側は補足のデータやさらなる検討をJR側に要求。七月中旬の第四回会合で「中下流域の地下水への影響は軽微」とまとめる根拠となったJRの水収支解析を批判した県の意見書は議題にならず、ともに次回以降に持ち越された。
 JRは、山梨側から標高が高い静岡側に上り勾配で掘る工法を採用する考えだが、この工法では一定期間、湧水が戻せないことが昨夏に発覚。県側は猛反発し下り勾配などを提案、JRはほかに選択肢はないと譲らず、双方の協議は暗礁に乗り上げた。
 JRはこの日も、下り勾配では突発的な湧水で掘削機械が埋没する恐れがあり、地表からの深度が深く導水路トンネルは取り付けられないなど、ほかに選択肢はないと強調。何ら対策を講じない場合、平均で毎秒〇・〇八トンが山梨側に流出するとの試算を示した。
 委員からは「対策を講じればどれくらいの流出になるのか、数字で示すことが丁寧な説明になる」「どの程度を想定し、その想定を超えない施工管理が大切だ」との意見があった。
 JRは第四回会合で、地表や地下水の動きをシミュレーションする水収支解析の結果、現場周辺で地下水が三百メートル超低下しても、中下流域の地下水に影響はないとする予測を提示。この日新たに、より範囲を広げた地下水位の予測値を示し、解析の範囲外でも「一定の範囲内で収束するものと考える」と補足した。
 委員からは、大量の地下水を含むとJRが想定する山梨県境沿いの「畑薙(はたなぎ)山断層」は、実際は「井川−大唐松山断層」で、活断層でなく、地質調査が必要と求める指摘もあった。
 終了後、福岡捷二(しょうじ)座長は「中下流域の地下水への影響は『概括的には問題ないと言えるのではないか』と複数意見があった。(湧水の流出問題は)工法は現実的であろうという意見もあったが、さらなる検討を進めるよう、JRに要請した」とのコメントを発表した。
 県庁からウェブで参加した難波喬司副知事は「水収支解析では地下水への評価は十分できないはずだし、湧水量は推定できない。この解析を前提とした話は納得できないし、次回以降の議論に期待したい」と述べた。 (大杉はるか、高橋貴仁)

関連キーワード

おすすめ情報