逆境の御旅屋セリオ 大和撤退1年 コロナ影響 テナント埋まらず

2020年8月24日 05時00分 (8月24日 10時17分更新)
にぎわい再生の核施設として期待が集まる御旅屋セリオ=富山県高岡市で

にぎわい再生の核施設として期待が集まる御旅屋セリオ=富山県高岡市で

  • にぎわい再生の核施設として期待が集まる御旅屋セリオ=富山県高岡市で
  • 開場した22日の土曜日に親子連れが訪れたオタヤ子ども広場=富山県高岡市で

好調 子ども広場に光明


 富山県高岡市の中心市街地にある再開発ビル「御旅屋(おたや)セリオ」(地上一〜八階、地下一階)に入居していた大和高岡店が昨年八月二十五日に閉店して一年。核店舗の撤退で失った街中のにぎわいを再生しようと、市や管理会社などは空きフロアの解消などに取り組もうとしているが、新型コロナウイルス感染拡大という強烈な逆風で苦戦を強いられている。(武田寛史)
 平日、エスカレーターは二階までしか稼働しない。大和富山店(富山市)の高岡サテライトショップと婦人服専門店がある一階ですら、買い物客の足が遠のく。百貨店時代に「デパ地下」として人気があった地下一階は薬局だけが残り、四階も手付かずのまま。高岡市が六月に三階に開設し、土日、祝日のみ開場している「オタヤ子ども広場」に幼い子どもを連れて訪れた母親(32)は「大和がなくなって、人がすごく少なくなった。買い物目的でくることはなくなった」と関心は薄い。
 地下一階は薬局をのぞいて明かりがともらずにいる。セリオを管理する第三セクター「オタヤ開発」が集客力のあるスーパーやドラッグストアの地下一階への誘致活動を根気よく続けるが、民間企業は郊外店志向が強く、見通しは暗い。高岡市商業雇用課の表野勝之課長は「新型コロナで潮目が変わった。出店を考えていた事業者も沈黙した」と声を落とす。
 市が五階に整備したマルチスペース(貸しホールと貸室)の利用も市の事業関連が中心で、「三密」を避けるため、団体の催しや企業の会議利用もほぼゼロ。民間の「末広開発」が富山県内では先駆的なeスポーツ拠点「Takaoka ePark」を展開するが、オンラインゲーム大会を新型コロナ感染予防で無観客としたため、若者が集う活気を生み出せていない。担当者は「小学生のプログラミング教室は動きだしたが、全体的に思い描いた本来のスタートではない」と落胆の色を隠せない。
 一方、好調なのがオタヤ子ども広場。六〜七月の利用者は一日平均百十人。月二回、六階で開かれるオタヤこども食堂のある日は百五十人を超える親子が詰め掛ける。「新型コロナで一年は飛んだ。催しも中止続き。辛抱して次のステップを考えたいが…」。オタヤ開発の藤田衛治社長(73)は盛況な広場に唯一の光明を見いだす。親子の絆をコンセプトにした子ども学習プログラム、英会話と遊びのキッズクラブの構想を練る。藤田社長は「教育や親子交流の全市的な拠点をつくりたい。一年かけて検討する」と前を向く。人が集まる街の再生に向けてまずは土台づくりが続く。

オタヤ開発は赤字 市は20億円投入へ


 御旅屋セリオを管理するオタヤ開発は、建物に多様な機能を持たせ、集客につなげようとする「セリオタウン構想」を三年計画で進める。しかし、大和撤退の影響で、オタヤ開発の二〇一九年度の売上高は四億九千七百万円で、前年より約二億五千万円も減少。結果、経常損失は約四千二百万円で、赤字になった。
 高岡市は財政健全化緊急プログラムに取り組む緊縮財政の最中だが、御旅屋セリオの全フロアの60%を取得するための九億五千万円、高岡地域地場産業センターの移転やオタヤ開発への長期貸し付けにも同額の九億五千万円など二十億円近い金額を投入する。
 高岡地域地場産業センターは十月初旬に市の主導で開設する。県西部の伝統工芸品の展示販売を中心に高岡銅器や高岡漆器の体験コーナーを目玉にしている。

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