【雨乃日珈琲店だより ソウル・弘大の街角から】(32)おかしなことが続く夏

2020年8月22日 05時00分 (8月22日 11時03分更新)
「青山色」(2015年)。青々と樹木の茂る山の姿

「青山色」(2015年)。青々と樹木の茂る山の姿

  • 「青山色」(2015年)。青々と樹木の茂る山の姿
  • 雨乃日珈琲店の窓から。今年の夏はたびたびゲリラ豪雨に襲われた=ソウル市内で
◇文・清水 博之 ◇書・池多亜沙子

雨続き肌寒さ 54日間の梅雨


 今年の夏のソウルは、おかしなことばかりだ。連日、異常なほど雨が続いた。六月下旬に始まった梅雨は八月十六日に開けるまで、五十四日間の観測史上最長を記録。韓国各地で水害を引き起こした。地理的に遠くない日本が猛暑だというニュースに触れ、肌寒いソウルとの違いに驚かされたものだ。おかしなことと言えば、七月に起きたソウル市長の自殺も、後味の悪さを街に残している。
 幸い当店は思ったほど大雨の影響を受けず、コロナ禍の影響を受けた春よりも多くのお客さんが訪れていた。とくに七月はここ一年を振り返って最も忙しかったと言える。ソウルでは五月上旬に集団感染が起き、弘大は特に人が減ったが、感染拡大の落ち着きと、政府が各世帯に使用期限付きの支援金を配布したことから、経済活動は徐々に回復。当店もその恩恵を受けたし、ひょっとしたら日本に行きたい若者たちが利用してくれたのではとも思っている。
 では政府のやり方がうまいかと言えば、そうとばかりも言えない。八月十四日には宿泊や映画などの利用を促すクーポン配布とともに、外食活性化キャンペーンという微妙な支援制度が始まった。これは連休三日の間、五つの飲食店でそれぞれ二万ウォン(約二千円)以上利用して、六店目の利用でやっと一万ウォンもらえるというもの。事前申請の必要もあり、誰が利用するのかと言われてしまう。
 そんな中、またもや教会発の集団感染が発生。さらに八月十五日、防疫指針に違反する右派のデモが起こり、そこに信者が参加していたこともあり、翌日には三月以来初となる二百人を超える新規陽性者が確認されることに。ソウル市はこれまで行っていた防疫レベルを一段階あげ再び外出自粛を呼びかけたが、感染者数は爆発的に増えるだろうと言われている。二月の大邱のような状況に戻らなければいいと祈るばかりだ。
 八月十六日、久しぶりに見た青空はあまりにまぶしくて、感動的ですらあった。昨年までの夏の日が遠く思い出された。(しみず・ひろゆき=ライター、いけだ・あさこ=書家、金沢市出身)

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