「脱観光」でコロナ克服 金沢の宿泊施設など

2020年8月22日 05時00分 (8月22日 10時05分更新)
ヤマカ水産の担当者(右)におすすめを聞きながら、「イチバのハコ」に入れる鮮魚を選ぶこはくのスタッフ=金沢市の近江町市場で

ヤマカ水産の担当者(右)におすすめを聞きながら、「イチバのハコ」に入れる鮮魚を選ぶこはくのスタッフ=金沢市の近江町市場で

  • ヤマカ水産の担当者(右)におすすめを聞きながら、「イチバのハコ」に入れる鮮魚を選ぶこはくのスタッフ=金沢市の近江町市場で

◇旬の食材 全国宅配
◇「ワーケーション」導入


 新型コロナウイルスの影響で大きな打撃を受けている金沢市内の宿泊施設などが「脱観光業」を切り口に苦境を乗り越えようとしている。地元の旬の食材を全国に宅配したり、旅行先で休暇を楽しみながら仕事に取り組む「ワーケーション」プランを設けたりと、サービスの転換を進めている。(蓮野亜耶)
 伝統工芸の体験型事業などを企画する「こはく」は五月から、近江町市場の各商店が目利きした旬の魚介類や加賀野菜などを箱に詰めて宅配する「イチバのハコ」を始めた。専門サイトには、これまでに東京都や愛知県などから約千件の注文を受けたという。
 山田滋彦代表(38)はゲストハウスも運営する。体験型事業とともに外国人に人気だったが、四月上旬には予約がすべてキャンセルとなり、売り上げはゼロに。そこでコロナ禍の影響を受けにくいと、食材の宅配に目を付けた。山田さんは「金沢の魅力を伝えるという点では観光業と同じ。伝え方を変えただけ」と話す。
 ホテル・ホステルの「エンブレムステイ金沢」は今月からワーケーションプランを始めた。強みは宿泊客向けの料理講座などで使っていた広いキッチン。長期滞在だと外食に頼りがちになり食生活に不安を感じる人が多いが、自炊できればワーケーションを試す動機づけになるためだ。
 将来的には地元の起業家らとの交流イベントも開く予定。ディレクターの松下秋裕さん(29)は「出会いを提供する場と考えればインバウンド(訪日外国人客)だけをターゲットにする必要はない」と指摘する。
 ゲストハウス運営の「こみんぐる」は都市部からの移住者の増加を見込み、二つの施設を賃貸に転用。さらにカップル向けに「お試し同棲プラン」も用意した。林俊伍取締役(33)は「『泊まる』と『暮らす』の境界が揺らいできている。宿泊の一歩先にある『暮らす』を提供したい」と話す。
 全国的にも新事業に乗り出す宿泊施設は多い。京都市など五カ所でホテルを運営する龍崎翔子さん(24)は、ホテルをシェルターとして活用してもらうなど、さまざまな工夫をしている。
 龍崎さんは「今後、一、二年は“脱観光業”が求められる」とし「観光業が提供していた価値を、エンタメ業といった別の媒体に読み替えて提供することが必要では」と語った。

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