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当てた事生かすしかない…初登板で阪神・桧山に“危険球退場” かつての左キラーの生き様が示す一球の価値

2020年8月21日 11時02分

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6回裏無死一塁、浜田達から危険球となる死球を受ける村上。捕手木下拓=20日、神宮で

6回裏無死一塁、浜田達から危険球となる死球を受ける村上。捕手木下拓=20日、神宮で

渋谷真コラム・龍の背に乗って

◇20日 ヤクルト7ー3中日(神宮)
 5点差をつけられた6回、3番手の浜田達はわずか2球でマウンドを降りた。青木に右前打、村上には後頭部への死球。危険球により、今季両リーグ4人目(セ・リーグ2人目)の退場処分となった。
 変化球のすっぽ抜け。村上が大事に至らず幸いだが、きっと昭和なら乱闘、平成でも小競り合いにはなったはずだ。15年前のあの一球でも、両軍ベンチは空っぽになり怒号が飛び交っていた。その原因をつくった元投手に話を聞いた。
 「僕はあの試合が初登板でしたから、とにかく必死でした。そんな投手に当てろなんて指示があるはずないです」
 2005年9月1日の阪神戦(甲子園)。小林正人(現広報)が桧山に投じたストレートがすっぽ抜け、頭部付近に当てた。初登板で危険球退場。0・5ゲーム差の首位攻防戦。殺気立っていた。だから阪神は「故意だ」と怒り、中日は「コントロールが悪いだけ」と返した。防御率18・00という数字から小林さんのプロ人生はスタートした。
 当てられた方は生死に関わる。当てた方も腕が縮こまる。どちらも怖い。その恐怖心を克服できた人間だけが生き残る。小林さんはこう言った。
 「当てていい、抜けてもいいとは当時も今も思わないです。あの初登板で、桧山さんの前に金本さんにも危ない球がありました。当時の僕に技術がなかっただけですが、『小林の球は抜ける』というイメージが残ったはずです。浜ちゃんもこれから村上選手とは何度も対戦する。当てたことは残念ですが、生かすしかない。こういう情報って、他球団の左打者も共有しますから」
 当てておいて厚かましいと思うかもしれないが、プロで生きるとはそういうことだ。小林さんは左キラーとして通算293試合投げた。浜田達の今季の対左打者は7打数4安打(右には7打数無安打)。また当てるのが怖いと思い、さらに打たれるのか。浜田は怖いと思わせ、打ち取るのか。村上への一球の価値は、この先の投げっぷりで決まる。
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