コロナ禍 クラウドファンディング普及  ネット資金調達 再建加速 北陸の中小企業、商店手軽さ魅力、商機も

2020年8月21日 05時00分 (8月21日 05時00分更新)
クラウドファンディングへの協力を呼び掛けるノルマン洋菓子店の(左から)中村誠一さん、和恵さん、一貴さん=金沢市で

クラウドファンディングへの協力を呼び掛けるノルマン洋菓子店の(左から)中村誠一さん、和恵さん、一貴さん=金沢市で

  • クラウドファンディングへの協力を呼び掛けるノルマン洋菓子店の(左から)中村誠一さん、和恵さん、一貴さん=金沢市で
  • ノルマン洋菓子店のクラウドファンディングサイトにつながるQRコード

 新型コロナウイルス感染拡大で経営環境が厳しくなる中、インターネット上で資金を募るクラウドファンディング(CF)を利用する北陸の中小企業や個人商店が増えている。資金をすばやく調達したい企業が支援を呼び掛ける手段として広まっており、目標額の達成に向け、返礼品を用意するなど工夫を凝らしている。(高本容平)
 「まさか百五十万円も集まるとは。ネットで見て、店に来てくれるお客さまも多いし、やって良かった」。「ノルマン洋菓子店」(金沢市)二代目・中村誠一店主(57)の長男で、CFに取り組んだ一貴さん(27)は笑顔を見せる。
 家族経営の同店は一九七一(昭和四十六)年の創業。多彩な種類のケーキや焼き菓子が売りで地元客に親しまれてきたが、コロナ禍が直撃。六月の売り上げは前年比で五割も減った。
 CFを始めたのは八月上旬。一貴さんは専用サイトに創業五十周年を迎える来年に向けた思いをつづるとともに、祖母・和恵さん(78)に取材し、店の歩みを過去の写真を並べて紹介した。
 返礼品として店の洋菓子セットや併設する喫茶店でのケーキバイキングを用意。会員制交流サイト(SNS)で拡散したところ反響を呼び、昔、店を利用したことがあるという米国在住者からも寄付があった。
 期限は三十日までだが、十八日に目標額百五十万円を突破した。「新商品の開発やネット販売に力を入れるのに活用したい」と一貴さん。「同じように大変な思いをしているお店にもCFのことを知ってほしい」と話す。
 貸し切りバスの利用が激減した「中部観光」(富山市)は四〜六月にCFで支援を呼び掛けた。かつての利用客やスクールバスに乗る生徒の親らが協力し、四十五万円が集まった。企画した営業課の山崎翔一郎係長(32)は「従業員の解雇を避けるには、国や自治体の補助金だけでは足りなかった。一歩踏み出して成果を出す重要性を学べた」と振り返る。
 九谷焼製造・卸売業の沢田商店(石川県能美市)は、延期となった五月の九谷茶碗(ちゃわん)まつりに出品予定だった商品をセットにして、CFで割安で販売。目標の倍以上の約百二十六万円分を売り上げた。沢田修社長(69)は「四月の売り上げは前年比六割減で、何とかしようともがいた。予想以上に支援いただき、ありがたい」と喜ぶ。
 CFには、新商品の反響を探るために先行販売したり、プロジェクトへの賛同を求めたりと、さまざまな利用方法がある。中小企業基盤整備機構(中小機構)北陸本部の担当者は「コロナ禍をきっかけに、銀行融資より手軽に資金を調達でき、店のPRにもつながることに魅力を感じる人が増えているのでは」と背景を分析する。

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