「元気を届けるどころか、勇気をもらった」 炎鵬、能登からのエールを胸に関取復帰へ再出発
2025年5月30日 10時27分
悔しさをにじませつつも、振り返りはとことん前向きだった。大の里が優勝を決めた大相撲夏場所13日目、同じ石川県出身で幕内経験者の西幕下10枚目・炎鵬(30)=伊勢ケ浜=が、白星で場所を締めて3勝4敗。首の大けがから7場所連続休場し、昨年名古屋場所で序ノ口から復帰後、初めて負け越した。
当初は椎間板ヘルニアと公表していたが、実際は脊髄損傷だった。寝たきりでの入院期間もあった重傷を乗り越え、土俵に立っている。「けがなく取り切れたのが一番。自分にとって必要な経験。糧にして、大きく成長できれば。ここからがスタート」
決して下を向かないのは、昨年の能登半島地震の被災地への思いが炎鵬を突き動かすから。金沢市出身だが、大きな被害を受けた奥能登と縁がある。能登町が、両親の地元。今年の春場所後に訪れた。
記者にとっても2012年から4年間、赴任した思い出の地。炎鵬の両親の実家のある集落は、特に足しげく通った。みこしを先導する奉灯「キリコ」が彩る夏祭りの話題を炎鵬に振る。記憶はぴたりと一致した。
「帰省すると、相撲教室の仲間が泊まりに来てくれましたね」と懐かしそうだった炎鵬の声が、少し沈んだ。「実は両親の実家が両方、取り壊しが決まっていて。見納めの思いでした」
地震の爪痕は深くても、交流した人たちは明るく歓迎してくれた。「元気を届けるどころか、勇気をもらった。土俵で恩返しですね」。能登からのエールを胸に、名古屋場所で関取復帰へ再出発する。(大相撲担当・志村拓)
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