<EYES> エッセイスト 小島慶子 森の香り懐かしく

2020年8月20日 10時10分 (8月20日 10時11分更新)
 今年の夏休みは、あちこち出かけられない人も多いでしょう。案外、近所の野山の良さを発見できるよい機会になるかもしれませんね。
 オーストラリアでは、7月上旬から2週間ほどが長期の休み。南半球なので冬休みです。いつもなら、パースに戻りますが、今年は1月半ばから家族と離れ離れ。「スクールホリデーなのに、家族と会えないなんて」と涙がこぼれました。
 長期休み中、学校の宿題は出ませんが、高校3年生の長男は冬期講習へ。11月の大学入試共通テストに向けて、受験勉強で忙しいのです。中3の次男はサッカーのトレーニングに行ったり、友達のバースデーパーティーに呼ばれたり…(7月時点で、西オーストラリア州では新型コロナウイルスの感染が抑制されており、人が集まることも可能です)。
 昨年までは私が家族のもとへ帰り、小旅行へ出るのが定番でした。お気に入りは、パースから車で3時間ほどのマーガレットリバーという街。軽井沢とハワイが合体したような人気のリゾートです。木漏れ日の森、鍾乳洞、広々としたビーチ、美しいワイナリー。コンドミニアムを借りて、数日間のんびり過ごします。
 数年前の冬休みにはさらに南へ。南下するほど寒くなりますが、ペンバートンという美しい街を訪れました。森の中の小さなコテージに泊まり、薪で暖をとります。朝夕は目の前の原っぱに野生のカンガルーが出てきて、のんびり草をはむのです。夜は漆黒の闇に満天の星、うっそうとしたユーカリの巨木の森からワライカワセミの怪しい鳴き声が。まるで太古の森に迷い込んだようでした。
 オーストラリアの冬は雨の季節。緑がみずみずしく茂ります。東京の真ん中で連日の猛暑にあえぎながら、森の澄んだ香りを懐かしく思い出しています。

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