<リニア 遠のいた開業>(3) 別の懸念
2020年8月20日 05時00分 (8月20日 05時01分更新)
表紙に「取扱注意」の文字。二〇一九年八月三十日、岐阜県御嵩町の役場を訪れたJR東海の担当者が、町の幹部や議員に二十二ページの資料を配った。
リニア中央新幹線のトンネル工事に伴い、町内で発生する残土を、町有地を含む町内二カ所に搬入するとの提案だった。二カ所は、JR東海の照会に対して町が受け入れ候補地として示した場所。町が想定していなかったのは、町有地に自然由来のカドミウムやヒ素といった重金属を含む「要対策土」が持ち込まれることだった。
「もし大雨で土が流出すれば、取り返しの付かないことになる」。資料を見た町議の岡本隆子(66)は不安を感じた。
計画によると、町内の工事で要対策土が発生する可能性があり、町有地の方をJR側が購入。安全対策を講じた上で、恒久的に管理するという。もう一方の民有地には、通常の土を持ち込む。
町有地は町民らが農業用水として使う可児川の上流部に位置する。汚染対策の工法は確立されているとはいえ、豪雨災害などで万が一にも重金属などが流出すれば、流域の田畑などに影響を与える可能性がある。
町はかつて、産業廃棄物処分場の受け入れを巡って揺れた。計画に反対する町長が襲撃される...
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