少しのスパイス 色づく世界 富山の「家’s」定額料金の貸し出しサービス

2020年8月20日 05時00分 (10月23日 17時00分更新)
ペイントを施したり、ドライフラワーを飾ったりしてアップサイクルしたたんす=富山県氷見市で

ペイントを施したり、ドライフラワーを飾ったりしてアップサイクルしたたんす=富山県氷見市で

  • ペイントを施したり、ドライフラワーを飾ったりしてアップサイクルしたたんす=富山県氷見市で
  • 「古い物に新たに価値をつけて、循環させる流れをつくりたい」と話す伊藤昌徳さん=富山県氷見市で

古たんす ペイントなどで再生


 嫁入り道具としても重宝されてきた古いたんすに大胆なペイントなどを施して再生させ、定額料金で貸し出すサービスを富山県高岡市の「家’s(イエス)」が始めた。ゲストハウスなどを手掛けるイエスを運営する伊藤昌徳さん(31)は「捨てられてしまうものに少しスパイスを加えるだけで世界はもっと豊かになる」と話す。古い物に価値がつかず、多くが捨てられている現状の打破を目指す。(蓮野亜耶)
 明治時代、大正時代に作られたたんすが現代アーティストによって鮮やかに彩られていく。黒漆のたんすには緑や水色で犬が描かれたり、たばこを吹かした男性が描かれていたり。汚れた部分をきれいに洗い流しただけのものもある。
 伊藤さんがこのサービスを始める原点となった苦い思い出がある。高岡市内に築百年の古民家を生かしたゲストハウスをオープンさせた際、「本当は価値のあるものだと分かっていた」という古い家具を捨ててしまった。後悔が残り、価値があっても今の生活様式に合わない家具の新たな使い道を模索。不用品などにデザインの力で新たな価値を与えて再利用する「アップサイクル」の手法を取り入れ、若い世代にもアピールすることを思い付いた。
 二〇一八年春、使わなくなったたんすの募集を呼び掛けたところ、地域の住民らから百さおが集まった。一つずつ検品し、伊藤さんの思いに共感したアーティストに新たなデザインを加えてもらった。
 高額な家具を広く使ってもらうため、一定期間を定額で貸し出す「サブスクリプションサービス」を取り入れた。アップサイクルされた家具の使用料は月二千三百円から。数カ月だけ使ってもいいし、気に入ったら買い取ることも可能だ。
 当初は飲食店やホテル向けだった。しかし、何度も家具を入れ替える店舗は少なく、今年六月からは一般の消費者向けに発信を始めた。アンティーク家具に興味のある人だけでなく、国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」にもつながる取り組みとして、環境や社会に配慮した「エシカル消費」に関心の高い層にも利用されている。
 伊藤さんはこう言い切る。「試してみて、時代を経たものをいとおしく思えるかもしれないし、自分に合わないと思うかもしれない。好きじゃないなと思ったら手放せばいい。僕らはまたそれを捨てずに、循環させます」
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