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リニア 大井川土地改良区・内田理事長に聞く

2020年8月18日 05時00分 (12月27日 17時10分更新)
流量減少の危惧を語る内田幸男理事長=島田市で

流量減少の危惧を語る内田幸男理事長=島田市で

 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、利水団体の一つで、県中部の四市一町に農業用水を提供する大井川土地改良区(島田市)の内田幸男理事長(85)は十七日、本紙の取材に応じ、大井川の流量減少への危惧やJR東海の説明不足を指摘した。国土交通省の有識者会議は、中下流域への影響は「軽微」との見解でまとめようとする中、国交省、県、JR東海の議論の行方をどんな思いで見守っているのか。 (聞き手・大橋貴史)
 −土地改良区の役割は
 島田、藤枝、焼津、牧之原市と吉田町の二千八百八十ヘクタールの農地に農業用水を安定供給する組織。組合員は約一万人で、ほぼ全員が稲作に従事している。中部電力が水力発電に使った後の表流水を、島田市身成の川口取水口などから取水して分配している。
 −利水団体として、どこに着目しているか
 議論の出発点となった「(トンネル湧水の)全量戻し」に強い関心を持っている。もしJRの言うとおり、毎秒二トン流量が減るとなると、組合員に安定供給できなくなる恐れがあり、死活問題になり得る。水が減るなら減るでどう代替措置をするのか、減らないなら減らないで科学的な根拠を示してほしい。県がJRに着工を認めるときは、協定書に「恒久的に水を保障する」旨を明文化するよう求めたい。余分なものはいらないから、今あるものを守ってほしい。
 −土地改良区はどれだけ水を使っているのか
 われわれのほか、神座と金谷、大井川右岸の計四つの土地改良区で、農業用水として毎秒三十五トンを利用している。数字的には二トンぐらいなくなっても平気と思われるかもしれないが、農業用水は渇水時には特に厳しく節水を求められる。組合員の末端まで水が行き届かなくなる可能性がある。
 −国交省・有識者会議の議論をどうみているか
 現在は、中下流域の地下水の影響に対する議論が進められており、それを見守っている状況だ。今後は「全量戻し」の議論も控えている。戻すのが無理なら、どうするのかまで議論を尽くしてもらいたい。
 −環境影響評価(アセスメント)の国交相意見(二〇一四年)は「地域住民に丁寧に説明すること」を求めている
 守られていない。最初から守っていたら、ここまでこじれることはなかったんじゃないかと思う。JRは当初、水について甘く考えていたのではないか。自社のためでなく、利水者のために行動していくという姿勢が見えないのは残念だ。

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