「根尾バット」OBの励ましに奮起の大阪桐蔭 東海大相模との甲子園初対決制した

2020年8月17日 12時30分

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8回裏大阪桐蔭1死二、三塁、藪井が勝ち越しの2点打を放つ。後方は西谷監督

8回裏大阪桐蔭1死二、三塁、藪井が勝ち越しの2点打を放つ。後方は西谷監督

  • 8回裏大阪桐蔭1死二、三塁、藪井が勝ち越しの2点打を放つ。後方は西谷監督

◇17日 甲子園交流試合最終日第1試合 大阪桐蔭4-2東海大相模

 大阪桐蔭ナインを支えたのは根尾バット、そして絶望体験のある監督の言葉だった。春夏通じて甲子園で初めて対戦した東海大相模戦。8回に背番号14の薮井駿之裕主将(3年)が左翼線へ決勝の2点適時打を放ち、有終の美を飾った。
 「甲子園に飢えている世代」と表現してきた西谷浩一監督(50)。2018年は根尾昂内野手(現中日)、藤原恭大外野手(現ロッテ)と、ドラフト1位でプロ入りすることになるスター選手を擁し、甲子園春夏連続優勝を果たした。その翌19年は春夏ともに甲子園を逃し、今の3年生に甲子園でプレー経験のある選手は皆無だからだ。
 今春センバツ(第92回選抜高校野球大会)には選出されたが、大会が新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けたため中止。夏は地方大会も甲子園の全国大会も中止が決定。その報道があった日は、常に全国制覇を目標に掲げる強豪だけに失意も大きかった。西谷監督は「何も力になってやれなかった」と無力感を口にしたほどだった。
 そんなチームに、OBから激励の贈り物が届いたのは、夏の中止発表後しばらくたってから。根尾と藤原が木製バットをそれぞれ10本ずつ、彼らの同期だった柿木蓮投手(日本ハム・ドラフト5位入団)、横川凱(かい)投手(巨人ドラフト4位入団)からはスパイクとウオームアップシューズが贈られてきた。
 「彼らの気持ちが本当にうれしかったです」と西谷監督。他の有名OB選手からも続々と激励プレゼントが届いた。
 選手は夏の中止が決まった夜から木製バットで素振りをするようになった。プロ志望届を出す選手、大学で野球を続ける選手がいる。「もう木に代えたんかい!」と西谷監督は笑いながら見守った。東海大相模戦でファインプレーを見せた上野海斗右翼手は、無安打に終わったが「金属バットは芯(しん)を外しても飛ぶけど、木製はちゃんと芯でとらえないと飛ばない。試合は金属バットですが、バットの面で打てるようになりました」と効果を明かす。
 西谷監督もつらい「消えた夏」を経験した。報徳学園の3年夏、下級生の不祥事により対外試合が禁じられ、夏の地方大会にも出場できなかったのだ。「兵庫大会の開幕日にチームで紅白戦をして区切りをつけたのが思い出です」と振り返る。
 今夏の中止決定時には選手に話さなかったが、数日たってからミーティングで実体験を伝えた。そして選手に語りかけた言葉は「自分で立ち上がるしかないんだぞ」。西谷監督は大学受験にも一度失敗し、一浪の末、関西大学に進学し、野球部では控え捕手ながら全国大学選手権の準優勝に輝いている。そして高校野球に携わり、監督として歴代最多となる甲子園春夏通算7度の優勝に導いてきた。
 不完全燃焼の感は拭えないだろう。ただ、周囲の支援や激励をもっとも授かった世代とも言えよう。その感謝の思いを込めて甲子園で精いっぱいプレーした。

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