会宝産業(金沢市) 自動車リサイクル

2020年8月15日 05時00分 (8月17日 12時19分更新)
工場に保管している輸出向けの中古エンジンを紹介する近藤高行社長。現在は約800台が並ぶ=金沢市の会宝産業で

工場に保管している輸出向けの中古エンジンを紹介する近藤高行社長。現在は約800台が並ぶ=金沢市の会宝産業で

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  • 最重点目標

後始末の責任 伝える


 金沢市北部にある自動車リサイクル業「会宝産業」の本社工場。天井に迫る巨大な棚には、自動車の中古エンジンが整然と並ぶ。その大半は輸出向けで、一つ一つに年式や状態が一目で分かるレーダーチャートを記したタグを付けて管理されている。
 同社は年間約一万二千台の中古車を買い取り、解体してパーツごとに分別。輸出先は中東や南米、東南アジアを中心に約九十カ国に上る。エンジンについては海外のバイヤーが品質を見極めにくく、不良品が取引されるケースもあるため、独自に定めた規格で評価しているという。
 例えば、一九九一年型のトヨタ・ターセルのエンジン。走行距離は五万一千キロで「三、四十万キロは使える。慣らし運転を終えたエンジンという感覚です」と近藤高行社長(45)。輸出先ではこの年代の日本車がまだまだ現役といい、ニーズが高い。「外国の人にとっては宝なんです」
 輸出しているのは部品だけではない。発展途上国では廃車の放置や部品の不法投棄が社会問題になっており、解体業者の技術レベルも低い。こうした現状を変えようと、「地球規模での循環型社会の実現」を掲げ、インドやマレーシア、ケニアなどで自動車リサイクル事業を展開し、培ったノウハウを伝えている。
 二〇〇七年には、本社の隣接地に自動車リサイクルの技術や知識を学べる「国際リサイクル教育センター」を設立。国内外から研修生を受け入れている。受講したブラジルの国立大教授の働き掛けで、現地にも同様の教育センターができた。一四年には適正な取引につなげようと、アラブ首長国連邦に中古部品のオークション会場を開いた。
 一連の活動が評価され、一七年にSDGsの達成を促す国連などの取り組み「ビジネス行動要請(BCtA)」への加盟を認められた。国内では他に名だたる大手メーカーばかり。近藤社長は「つくったものを後始末し、循環させる企業を選んでくれたことがうれしかった」と喜ぶ。
 SDGsでは、目標(12)「つくる責任、つかう責任」を最も重視する。近藤社長は「これに加えて、『後始末の責任』がある」と説く。「せっかく生まれてきた製品を粗末にしたくない。必要とする人に届け、最後まで命を全うさせたい」 (高本容平)

 SDGs 「誰一人取り残さない」という考え方のもと、人種や性別、地域などを超えて地球上のみんながそろって幸せになることを目指す国連の目標。「貧困をなくそう」「すべての人に健康と福祉を」「人や国の不平等をなくそう」など17のテーマ別の目標がある。SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略。

 会社メモ 近藤社長の父で現会長の近藤典彦氏が1969年に近藤自動車商会を設立。92年に現社名に変更した。自動車リサイクル事業や中古自動車・部品の買い取りと販売、輸出を手掛ける。2018年に政府の「ジャパンSDGsアワード」でSDGs副本部長(外務大臣)賞を受賞。従業員は80人。19年12月期の連結売上高は33億1700万円。


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