リニア 県、JRの水収支解析批判 国交省と環境省に意見書

2020年8月14日 05時00分 (8月14日 05時03分更新)
 リニア中央新幹線の南アルプストンネル(静岡市葵区)工事を巡り、静岡県は十三日、JR東海が国土交通省の有識者会議で示した地表や地下水の動きを科学的にシミュレーションした「水収支解析」を批判する意見書を国交省と環境省に提出した。大井川の流量減少問題と生物多様性への影響、両面から解析の結果や手法に反論している。
 七月十六日にあった国交省・有識者会議第四回会合はJRの水収支解析を踏まえ、大井川の中下流域への影響は「軽微」との見解で大筋合意した。月内にも第五回会合を開き、近く中間結果を取りまとめる。
 県から国交省・上原淳鉄道局長宛ての文書では、降水量の推測値や透水係数の設定、破砕帯や断層のデータなどを疑問視。地下水が一定範囲外に流出しないとの前提で計算され、仮定の設定や数値の調整も「恣意(しい)的。方法論として許容限界を超えている」と否定した。この解析を用いた説明を続ける限り「県民、市民・町民、利水者の理解や納得は得られない」と踏み込んだ。
 環境省・和田篤也総合環境政策統括官に宛てた文書では、生物多様性への影響に言及。国立公園の「特別保護地区」などで地下水が三百メートル超下がると推測したことに、風致景観や希少な野生動植物など「南アルプスの生態系にどの程度の影響が出るか、計りかねる」としている。
 地下水位の大幅低下では、JRが二〇一四年四月に国交省に提出した環境影響評価(アセスメント)書に記載されていないことに触れ、「このような重大な情報を伝えず、環境アセスの手続きを進めたことに大きな問題がある」と指摘している。
 会見した難波喬司副知事は「国交省・有識者会議は県の見解を踏まえ、議論してほしい」と話した。川勝平太知事は、国交省・有識者会議が何らかの結論を出したとしても、県の有識者会議で議論し、納得しない限り、受け入れられないとの考えを示している。
 国交省は県から届いた意見書を有識者会議の各委員に送付した。JR側に解析結果の見直しなどを求めるかは「現時点で未定」としている。 (牧野新)

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