応援したくなる 偉大な父を追う横山兄弟【本城雅人コラム】

2020年8月10日 10時38分

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横山典弘

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◇「ぱかぱか日和」


 今夏は横山ブラザーズがとても熱い。弟の横山武史騎手は函館リーディングを獲得。札幌でも6勝とルメール、武豊、池添騎手らトップ相手に大活躍し、51勝は関東リーディングトップだ。兄の和生騎手も札幌4勝、現在20勝と去年の17勝を上回り、この調子なら自己最高の2013年の39勝を超えそうな勢い。和生騎手はデビューイヤーは4勝と騎乗馬に恵まれなかったし、武史騎手も1年目は13勝と関西の新人のようにたくさん勝てなかった。だが地道に調教を手伝い、自厩舎以外の馬にも騎乗依頼を受け、滞在競馬で大ブレーク。スピードは異なるが、成長過程はよく似ている。
 謙虚なイメージがあるお兄ちゃん、一方、社交的で感情をあらわにする弟、いずれもお父さんの横山典弘騎手とはちょっと違う。けっしてお父さんがそうでないわけではなく、本当にうれしい時はデットーリ騎手ばりのフライングディスマウント(馬の上からジャンプして降りる)もする。だけど愛想はあまりよくなくて、ちょっと勝ったくらいではクールさを崩さない。それでも競馬を語り出したら熱くて、武豊騎手も尊敬しているし、四位洋文元騎手(調教師)、藤田伸二元騎手、田中勝春騎手など多くの騎手が心酔し、周りはいつも競馬談義でにぎわっている。騎乗フォームの美しさや大胆な騎乗、プロが惚れるジョッキーだからこそ、みんなが「ノリちゃんと競馬の話をしたい」と思うのだろう。
 二人の息子は「あの横山典弘にいつでも話が聞ける」という誰よりも恵まれた境遇があるが、横山典弘騎手のことだから放任主義で、レースのたびにああしろ、こうしろとうるさく言うことはない。ただ厳しい人なので仕事はきちんとやれと言っているはずだ。父親の背中を必死に追いかけているのが見えるからこそ、調教師や馬主が「ノリのせがれを応援したい」という気持ちになるのだろう。(作家)

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