【わがまちの偉人】砺波 元高波地区球根組合長 山本善一(1950〜2019年) 

2020年8月9日 05時00分 (8月9日 12時18分更新)
園児たちの前でチューリップの花を摘む山本善一=砺波市高波で

園児たちの前でチューリップの花を摘む山本善一=砺波市高波で

  • 園児たちの前でチューリップの花を摘む山本善一=砺波市高波で
  • 山本 善一

県花普及 咲いた情熱


 チューリップの球根産地として知られる砺波市高波地区の球根組合長だった山本善一は、栽培農家が減る中で、自らは畑を広げ、栽培の機械化やチューリップのPRで産地の盛り上げに尽力した。 (松村裕子)
 「うちの畑で試してほしい」。三年前、県花卉(かき)球根農協(砺波市)が導入を目指すネット栽培機の実験畑を募った際、いち早く手を挙げた。「栽培の機械化に熱心だった」と当時の農協常務理事で現地区球根組合長の水越久男(71)。
 高波地区では五十余年前、球根農家は七十戸あった。オランダ産球根の輸入自由化で価格が下がって徐々に減り、今は七戸に。自らは反対に「ずっと続けていくがや」と、四十アールだった畑を一ヘクタールにまで拡大。そんな中で、植え込みや収穫で大幅に省力化できるネット栽培機に関心をもった。
 地域の協力なく球根は作れない。早朝作業は機械音が響く。球根は連作ができず、他の農家の田を借りることも。「地域の人に見てもらわんと話にならんやろ。砺波のチューリップを知ってもらわな」と住民向けの高波チューリップまつりにも力を入れた。フォトコンテストや小学生の写生大会を催し、摘んだ花びらのフラワーシャワーで地元園児を喜ばせた。
 地区の畑がサテライト会場になるとなみチューリップフェアや、球根を安価に販売するとなみチューリップ球根まつりでもPRに当たった。フェア用に珍しい品種を植え、畑だけでなく送迎のシャトルバスにも乗り込み解説した。「ぜんちゃんはしゃべるのが好き。説明もうまかった。チューリップのファンを増やそうと一生懸命だった」と地元の球根農家朝日利久(72)。
 「だめや、おれは。がんで余命一年と言われた」。昨年一月、水越は組合長の辞意を伝えられた。療養中も機械を新調するなど球根作りへの意欲は衰えなかったが、病気には勝てなかった。高齢化する農家の中では中堅で「まだまだ頑張ってほしかった」と惜しむ。
 「普段はワンマン。でも結婚記念日や私の誕生日は忘れなかった」と妻美知子(69)。家族思いでもあった。=敬称略

【プロフィール】やまもと・よしかず=砺波市高波生まれ。旧福野高校を卒業後、郵便局に勤めながら家業の農業に従事。定年前の59歳で退職し、父親の代から始めた球根栽培に専念。2014〜19年、高波地区球根組合長。市球根組合の副組合長も務めた。昨年10月、肺がんのため68歳で死去。


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