山中漆器 未来の塗り職人育め 「ブランド力アップへ」支援金募集中

2020年8月8日 05時00分 (8月8日 10時18分更新)
和ろうそくの炎を器にあてる「叢雲塗り」に取り組む清水一人さん=加賀市山中温泉で(浅田明彦さん提供)

和ろうそくの炎を器にあてる「叢雲塗り」に取り組む清水一人さん=加賀市山中温泉で(浅田明彦さん提供)

  • 和ろうそくの炎を器にあてる「叢雲塗り」に取り組む清水一人さん=加賀市山中温泉で(浅田明彦さん提供)
  • 浅田明彦さん

製造販売4代目 浅田さん インターン企画


 山中漆器の塗り職人を育てたい−。加賀市山中温泉菅谷町の漆器製造販売「浅田漆器工芸」の四代目浅田明彦(はるひこ)さん(32)が、学生の研修を受け入れるインターン制度を企画した。背景には塗り職人の減少への危機感がある。浅田さんは「若い人材を育て、山中漆器のブランド力を高めたい」と話し、クラウドファンディングで支援金を募っている。(小室亜希子)
 漆器には木地、塗り、蒔絵(まきえ)の工程があるが、山中漆器はろくろでひく木地の分野で、全国屈指の技術力と生産量を誇る。美しい木目を見せるため、塗りは漆を塗って拭き取る「拭き漆」が主力。下地や中塗り、上塗りと何層にも漆を重ねる刷毛(はけ)塗りは、商品が比較的高額で売れにくいことなどから仕事が減っており、山中漆器の塗り職人は現在、十人しかいないという。
 「このままでは塗りの仕事は増えず、担い手も育たない。塗りの技術が途絶えてしまう」と危機感を募らせた浅田さん。工芸の道を志しながら、就職の厳しさや、理想と現実のギャップに直面し断念していく同世代の姿にも触れ、「山中の塗りの技術を知ってもらい、若い有能な仲間が集まる環境をつくりたい」と決意した。
 インターン制度は浅田さんも卒業した京都伝統工芸大学校(京都府南丹市)漆工科の生徒を主な対象とし、体験コース(一泊二日)と商品企画コース(七日間)を用意。木地から塗り、蒔絵まで分業で一貫生産する山中漆器の環境を生かし、それぞれ熟練の職人が指導を担当する。
 和ろうそくのすすで揺らめくような模様を付ける「叢雲(むらくも)塗り」に山中漆器で唯一、取り組む清水一人(かずと)さん(47)も指導する。独学で研究した清水さんは「自分だけの技術ではない。いろんな人に知ってほしい」と話しており、叢雲塗りの後継者を育てる目的もある。定員は五人で、来年八月からスタートする。
 クラウドファンディングサイト「casanell」で九月十一日まで、支援金を募る。目標金額は百万円。今月七日午後四時現在、四十七万五千円が集まっている。研修生の旅費や職人の報酬に充てられる。

関連キーワード

PR情報

石川の最新ニュース

記事一覧