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「ノックオン」が使えなくなる?…ラグビー用語の変更に戸惑いの声 国内限定で使い続ける手はなかったか

2025年1月10日 14時02分

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ボールを前方に落とす「ノックオン」もチャレンジした結果ならファンもレフェリーも優しい(写真はイメージです)

ボールを前方に落とす「ノックオン」もチャレンジした結果ならファンもレフェリーも優しい(写真はイメージです)

◇コラム「大友信彦のもっとラグビー」
 ラグビー経験者でなくても、日常生活でペンなどを落としたときに「ノックオン」と言われた経験のある方もおいでではないだろうか。ラグビーではボールを前に落とすことをノックオンと呼んできた。オフサイドなど不正や危険なプレーにはペナルティーキックが科されるが、こちらはむしろ「失敗」だ。レフェリーも「残念だったね」という雰囲気で笛を吹くケースが多い。
 だがそんな会話も過去のものになるかもしれない。
 日本ラグビー協会はこのほど、国際統括団体ワールドラグビーの決定を受け、25年から施行される試験的実施ルールと用語の変更を発表した。話題になっているのは、8項目にわたる用語の変更だ。その中には、ボールを前に落とすノックオンを「ノックフォワード」、ゴールラインを「トライライン」、インゴールエリアを「トライゾーン/トライエリア」と改称するなど、ラグビー用語として長い間使われ、定着していたものの変更もある。
 協会は「以下の用語を、新たにラグビー競技を観戦する人たちにわかりやすく伝えるために変更する」と説明している。順調なら今週末のリーグワン、大学選手権決勝では「××のノックフォワードです」というアナウンスが聞かれそうだ。
 だが、長年親しまれたラグビー用語の変更には戸惑いの声も聞かれる。国内限定で従来の用語を使い続けるという手はなかったのか?
 「選択の余地自体はありえました」と、8日の日本協会理事会後に会見した岩渕健輔専務理事は言った。理事会でも「従来の呼び方を残してはどうか?」という意見も出たという。だが同氏は「今後、日本で国際大会を開くときには世界共通の用語を使うことになるし、選手が世界に出て行ったときに普段と違う用語に接するのは不便」と、国内でも用語を変更する理由を説明した。
 今回の改訂は昨年11月のワールドラグビー理事会で議決されたもの。同理事会ではルール改定に関する議論も行われ「モールのストップ回数制限についてはユニオン同士で連携したりする動きもありました」と激論になったというが、用語については作業班から出てきたリストが特に議論もなく承認されたという。
 勝負以外の部分については関心が高くないのは仕方ないのかな…と思う半面、ラグビーの文化を作ってきた呼び名の変更には、ワールドラグビーでもう少し議論してほしかったな…という思いも沸いてしまった。
 なお、日常生活で使う「それノックオン」などの会話が禁止されるわけではない。グラウンド以外で古いラグビー用語が残っていくのかどうかに注目したい。
 ▼大友信彦 スポーツライター、1987年から東京中日スポーツ・中日スポーツでラグビーを担当。W杯は91年の第2回大会から8大会連続取材中。著書に「エディー・ジョーンズの監督学」「釜石の夢~被災地でワールドカップを」「オールブラックスが強い理由」「勇気と献身」など。
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