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静岡大空襲77年「奇跡」継ぐ 「くすのき」苗木を小学校へ

2022年6月20日 05時05分 (6月20日 05時07分更新)
真田喜代美さんが育てた「奇跡のくすのき」の苗木=静岡市清水区で

真田喜代美さんが育てた「奇跡のくすのき」の苗木=静岡市清水区で

  • 真田喜代美さんが育てた「奇跡のくすのき」の苗木=静岡市清水区で
  • 静岡赤十字病院前にある、静岡大空襲を乗り越えた「奇跡のくすのき」=静岡市葵区で
 静岡赤十字病院(静岡市葵区)前にたたずむ全長十メートル以上のクスノキ。樹齢百五十年以上とみられる。太平洋戦争末期の静岡大空襲を乗り越えたことから「奇跡のくすのき」と呼ばれるようになった。空襲から二十日で七十七年。挿し木から育った苗木が、同区の市立竜南小学校に受け継がれる。 (谷口武)
 クスノキは二〇一四年に根の傷みが明らかになり、枯れる可能性が出ていた。苗木を育ててきた静岡平和資料センター(同区)の真田喜代美さん(74)は、移植先が決まったことに安堵(あんど)の表情を見せる。「これだって奇跡。土居さんの魂が宿っているようで、今でもたまに声を掛けてしまう」
 土居さんとは、三月に急死したセンター事務局長の土居和江さん。昨年から真田さんたちと移植先を探していた最中に世を去った。
 そんな中、今月に入り竜南小が名乗り出た。同小は六年生が本年度、八月十五日の市の戦没者追悼式に向け、平和学習に取り組んでいた。その縁から、形に残るよう植樹を希望した。
 土居さんが七十六歳の誕生日を迎えるはずだった五月三十一日、しのぶ会がセンターであった。真田さんは「やっとね、決まりました。無事に引き継げそうです」と報告した。
 空襲から七十七年の節目となる二十日に、苗木を竜南小の校庭に植える。土居さん、真田さんと共に活動してきたセンターの浅見幸也顧問(84)は「静岡がどんな戦争を経験してきたのか、若い世代の知るきっかけになる木が続いてくれてうれしい」と話す。
 苗木はもう一本あり、菊川市の常葉大菊川高校と植樹時期を調整しているという。

 <静岡大空襲> 1945年6月20日午前0時50分ごろから約2時間で800トン弱の爆弾が投下され、静岡市街地の3分の2を焼失した。2000人以上とされる犠牲者は、いまだ半分も名前が分かっていない。71年に有志が「静岡市空襲を記録する会」(現・静岡平和資料館をつくる会)を立ち上げて調査を続けている。会によると、現在判明している犠牲者は約1090人。最近は名簿を更新できておらず、ここ数年変化がない。


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