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視覚障害者の避難に触れれば分かる浸水立体マップ 長野高専・藤沢教授

2022年5月21日 05時05分 (5月21日 16時19分更新)
作成した視覚障害者用のハザードマップを紹介する藤沢教授=長野市の長野高専で

作成した視覚障害者用のハザードマップを紹介する藤沢教授=長野市の長野高専で

 長野高専(長野市)の藤沢義範教授(49)(福祉工学)が、視覚障害者向けの防災ハザードマップの作成を進めている。河川氾濫時の浸水リスクに応じた凹凸を透明なアクリル板につけ、手で触って直感的に分かるようにする仕組みだ。藤沢教授は「視覚障害者らの防災訓練に活用してもらいたい」と話している。 (小寺香菜子)
 きっかけは長野市の社会福祉士で全盲の池田純さん(69)からの相談だった。池田さんは二〇一九年十月に台風19号が市内を襲った際、豪雨で防災無線も聞こえず、恐怖を覚えた。幸いにも被災はしなかったが、「避難するのは災害が起きてからでは遅い」と思い、ハザードマップの必要性を痛感した。
 災害の後、ハザードマップを指先の触覚で読み取れるよう、紙に点を打ち込み、作成した。だが、点で示さなければならない情報量が多く、分かりづらくなってしまったため、知人の藤沢教授に「触っただけで直感的にわかるようにできないか」と求めた。
 藤沢教授が考案したのが厚さ五ミリの透明のアクリル板二枚を使ったハザードマップだ。一枚に道路や建物、避難所などの場所を凹凸で示し、もう一枚に浸水リスクに応じて凹凸に濃淡をつけることで情報量が集中しないようにした。それぞれ通常の紙のハザードマップに重ねることができるため、健常者が視覚障害者に避難経路などを助言することもできる。
 藤沢教授は今年一月、全国のハザードマップのデータを読み取り、自動でアクリル板に凹凸をつけられるソフトウエアも開発した。視覚障害者らがマップを自由に更新できるよう改良していき、本年度内を目標に全国の視覚障害者やボランティア団体に公開したいとしている。
 藤沢教授は「災害時に、介助者がいない視覚障害者の不安を取り除ければ」と話し「マップを活用することで浸水リスクや避難経路に留意し、事前に避難訓練をしてほしい」と呼び掛ける。池田さんも「視覚障害者が避難計画を立てたり、災害時に自分の命をどう守るか考えたりするきっかけになれば」と話している。

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