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熱海盛り土 「県・市の対応失敗」第三者委が最終報告

2022年5月14日 05時05分 (5月14日 05時07分更新)
土石流災害を巡る行政対応は「失敗」とした最終報告をまとめ、会見する県の第三者委のメンバー=県庁で(中川紘希撮影)

土石流災害を巡る行政対応は「失敗」とした最終報告をまとめ、会見する県の第三者委のメンバー=県庁で(中川紘希撮影)

  • 土石流災害を巡る行政対応は「失敗」とした最終報告をまとめ、会見する県の第三者委のメンバー=県庁で(中川紘希撮影)
 昨年七月に熱海市伊豆山(いずさん)で発生した土石流災害を拡大させた盛り土造成を巡り、県と市の対応を検証していた県の第三者委「行政対応検証委員会」は十三日、土地の前・現所有者らに適切な対応をしていれば被害を防げたとして「断固たる措置を取らなかった行政姿勢の失敗」との最終報告をまとめた。二十七人が亡くなった災害の責任の一端が行政にあると認めた形になる。 (塚田真裕、山中正義)

◆審査不十分「最大の要因」

 最終報告は「行政対応の過程で業者の行為を止め、適切な処置を行う機会は幾度もあった」と指摘。法令ごとの行政対応の過程と問題点を記し「県と市の行政対応の失敗だった」と総括した。届け出や申請の受け付けの審査や指導が不十分だったことが「(失敗の)最大の要因」と位置付け、審査の徹底などを提言した。
 具体的には、市は二〇〇七年四月、前所有者から盛り土の県条例に基づく届け出書を一部空欄のまま受け付けた。これに対し「審査は甘かった」と市の対応を批判。「初動対応で、不備な届け出を受け付けたため、その後の指導や是正措置が行いにくくなったと推察される」と結論付けた。
 一一年六月には市は県と相談の上、前所有者に指導より強い対応である「措置命令」を出す方針を決めながら、「業者が防災工事を行った」などとして見送った。だが、工事の出来をどのように調べたかは「確認できなかった」として判断の根拠に疑問を提示。その上で、県について「市が見送った理由を確認するなどより積極的な関与をすべきだった」と指摘した。
 一ヘクタール以上の開発と見なせば、より規制力の強い森林法に基づく林地開発許可を県の権限で適用できた。最終報告は「所有者の同一性に着目して一ヘクタールを超えると見なすことも可能だった」と指摘。「基本的には市が対処すべき」との県の意識が、積極的に関与しなかった原因だと記した。県庁で会見した委員長の青島伸雄弁護士は「受け付けの段階が一番の原因。市と県が連携を取っていれば、その後の業者の悪質な行為を止められた」と述べた。
 川勝平太知事は「提言を真摯(しんし)に受け止め、今回のような災害が二度と起こらないよう、行政対応の改善を図っていく」とのコメントを出した。県は十七日に、最終報告への見解と今後の対応を公表する。

 <熱海市の土石流災害> 2021年7月3日午前10時半ごろ同市伊豆山で発生。災害関連死の1人を含め27人が亡くなり、今も女性1人が行方不明。起点部で不適切に造成された盛り土が、被害を甚大化させたとの指摘がされている。遺族らでつくる被害者の会は、盛り土があった土地の現旧所有者らを刑事告訴したり、損害賠償を求めて提訴したりした。18日に初弁論が開かれる。


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