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経済対策を指示 暮らしへの思い足りぬ

2022年3月30日 05時00分 (3月30日 05時00分更新)
 岸田文雄首相が緊急経済対策の策定を指示した。円安と原油高で物価上昇に拍車がかかり対策を講じるのは当然だ。だが取りまとめ時期が四月末と遅い。暮らしへの思いが足りないのではないか。
 外国為替市場では円安傾向が鮮明になっている。対ドル相場は一時、六年七カ月ぶりに一ドル=一二五円台を付けた=グラフ。
 米国がインフレ抑止のために金利を上げ、日本の長期金利も上がり始めたが、日銀が長期金利の上昇抑制策を実行した結果、金利の高いドルが買われ円を売る動きが一層強まった。
 長期金利上昇は国債の価値低下を意味し、日本経済の信用も揺らぎかねない。日銀の措置はやむを得ないだろう。
 ただ金利を低下させれば円安圧力が強まるのは避けられない。円安は輸入価格の上昇を通じて物価高騰を加速させる。
 値上げの波はウクライナ情勢に伴いエネルギー価格にとどまらず生活必需品全般に広がっている。コロナ禍で深手を負った暮らしに、物価高がさらなる打撃を与えている形だ。流通コストの増加に苦しむ飲食店などの店舗や中小企業にとっては死活問題である。
 だが日銀の黒田東彦総裁は二十五日の衆院財務金融委員会で円安について「経済にプラスに作用している構図は変わりない」と発言した。円安容認と受け取られかねず疑問を持たざるを得ない。
 政府の動きも鈍い。値上げは四月一日から一段と加速する。本来なら三月中に対策の具体的メニューを国民に示すべきだった。もし今夏の参院選対策を念頭に取りまとめを遅らせているのなら見過ごせない。
 政府は原油や穀物、水産物を対象にした物価抑制策と中小企業や生活困窮者への支援を経済対策の軸に据える。だが全体の取りまとめを待っていたのでは支援は間に合わない。的を絞った対策を準備が整い次第実行すべきだ。
 その際、大規模な円買い介入も視野に入れた円安防止策の検討も進めてほしい。年金生活者への五千円給付は一転、白紙から見直すことになったが、当然である。 

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