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浜松城二の丸絵図など6点 市博物館職員、紛失隠す

2022年3月26日 05時00分 (3月26日 05時02分更新)
浜松市博物館が紛失した浜松城二の丸絵図=同市提供

浜松市博物館が紛失した浜松城二の丸絵図=同市提供

  • 浜松市博物館が紛失した浜松城二の丸絵図=同市提供
 浜松市博物館が古文書や絵図など六点を紛失した問題で、市は二十五日に会見し、博物館職員が二〇一一年に絵図三点が所在不明だと認識した後も、存在するように粉飾し、紛失を隠していたことを明らかにした。市は定期的に所蔵品を確認する物品検査を実施していたが、その際は別の絵図の箱を示すなどしてすり抜けていた。市は今後、関係者の処分も検討する。 (渡辺真由子、内田淳二)
 市は、昨年七月に実施した検査で六点の所在不明を把握。十一月に紛失を公表し、その後、経緯を調査していた。六点のうち「東海道名所図会(ずえ)」は本来の保管場所とは違う場所から見つかったが、他の五点は見つからず、紛失した経緯や時期は特定できなかった。うち三点について、担当職員は一一年には所在不明と認識していた。
 中でも「浜松城二の丸絵図」は購入額が二百万円以上の「重要物品」に指定され、備品を確認する市調達課職員が、原則三年に一回実施する物品検査の対象となっていた。
 検査では、写真付きの所蔵品の台帳と実物を、市調達課の職員が照合していく。一八年の検査に先立って、担当職員は当時の館長と上司に紛失を報告したというが、検査では、意図的に台帳に別の絵図の箱の写真を掲載。その箱を同課の職員に見せて、所蔵品がなくなっていないように装っていた。
 その後、職員は代わり、館長と上司も定期的に異動しており、数人が不正な検査に関わっていたとみられる。
 物品検査は一〇年、一五年にもあったが、結果を記した書類の保管期限が切れており、検査結果は確認できないという。会見した中村公彦文化振興担当部長は「紛失を隠す意図があった。史料が多く、整理できていないという現状はあるものの、許されることではない」と謝罪した。

◆史料は一点もの 管理体制に課題

 「所蔵品の多くは『一点もの』で、替えはきかない。博物館の基盤となる保存がずさんなのは、申し開きができないような大きな問題だ」。博物館運営に詳しい名古屋大の栗田秀法教授(58)=博物館学=は、管理の大切さを説く。
 館長や職員が紛失を故意に隠していたことも明らかになった。「それが一番いけない。責任を先送りにせず、把握した時点で体制を立て直すべきだった」。栗田さんはそう批判する一方「紛失は各地の自治体の博物館などで起きている」とも指摘する。帳簿と現物を照合するのは管理の基本だが、所蔵品は膨大な数がある。多くの博物館で経費削減のため、人員不足で手が回らない実情もあるという。「管理専門の職員がいる欧米と違い、日本はすべて学芸員が行う。展示などのサービスが優先され、見えない部分は後になる。体制自体を考えないと、再発しかねない」
 二〇二〇年には、前橋市立美術館「アーツ前橋」で作品六点の紛失が判明する事例があった。第三者委員会は、関係者が隠蔽(いんぺい)を検討していたと指摘。対策は、学芸員の体制の改善にも言及された。

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