佐鳴湖の水質浄化だけじゃない イネ科「ヨシ」もっと活用
2021年12月16日 05時00分 (12月16日 05時02分更新)
浜松市の佐鳴湖に生えているイネ科のヨシを手入れのために刈り取り、別の形で活用する取り組みが市民ボランティアの間で広がっている。市内の茶畑に敷いたり、ストローや笛を作ったり。さまざまなアイデアが「無駄を出さない」循環をつくっている。 (高島碧)
ヨシは水質汚染が課題となっていた佐鳴湖の浄化のために植えられている。プランクトンを大量発生させるリンや窒素を吸い、枯れる前に刈ることで効果が高まるとされる。十五年前から佐鳴湖地域協議会や、市内のライオンズクラブが、毎年十、十一月にボランティアを募って作業をし、昨年は約三万平方メートルで二トントラック三十台分のヨシが集まった。
刈ったヨシは、市内の茶農家五軒に運ばれ、茶畑の根元に敷いて雑草や土壌の乾燥を防いでいる。茶の栽培から販売まで手掛ける「まるたま」(浜松市北区)は二〇一九年から、除草剤を使う代わりにヨシを敷いて育てた茶葉の紅茶「さなるの紅茶」の販売をしている。
パッケージに佐鳴湖とヨシの絵をあしらい、開発した従業員の鈴木あおいさん(28)は「果実のような風味があり、佐鳴湖と茶畑がつながるストーリーを気に入ってもらっている」と手応えを語る。「商品を通じて、多様な生物がすむ佐鳴湖を知ってほしい」と期待する。
「浜松水辺を愛する会」は先月、富塚協働センター(浜松市中区)で開かれた佐鳴湖に関する意見交換会で、ヨシの茎を使ったストローを紹介した。茎を短く切り、中の空洞を掃除して飲み物を飲めるようにした。切った茎に葉を差して笛を作り、地域の子どもたちへプレゼントする活動も十年前から続ける。
会員の松本貞司さん(73)は「ヨシはすだれに使われるほど丈夫で物作りに向いている。ヨシ刈りを象徴するようなモニュメントも作ってみたい」と意欲を燃やす。
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