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物語浮かぶ独自の版画 作家・湊さん(金美大出身)個展

2021年12月8日 05時00分 (12月8日 10時20分更新)
猟師と歩いた山道から着想した版画などが並ぶ湊七雄さんの個展=金沢市下堤町のギャラリーアルトラで

猟師と歩いた山道から着想した版画などが並ぶ湊七雄さんの個展=金沢市下堤町のギャラリーアルトラで

  • 猟師と歩いた山道から着想した版画などが並ぶ湊七雄さんの個展=金沢市下堤町のギャラリーアルトラで

用紙 環境に配慮し国産調達

 有機溶剤を使わないノントキシック(非毒性)銅版画の第一人者で知られる金沢美術工芸大出身の美術作家、湊七雄(しちお)さん(49)の個展「little stories」が、金沢市下堤町のギャラリーアルトラで開かれている。猟師と歩いた山の風景や小説から着想したユートピア(理想郷)を描いた作品は見る人の想像力を刺激する。十二日まで。 (押川恵理子)
 湊さんは三重県紀北町生まれ。ベルギー・王立ゲント美術アカデミー版画専攻を首席で修了した。二〇一九年から福井大教授。
 光や音など形の捉えにくいものを題材としてきたが、新型コロナウイルスの世界的大流行によって、人と人とのつながりや多面的なものの見方に興味が移ったという。同じ風景でも、そこで生まれ育った人と、そうでない人とで見え方は異なる。二十年ぶりに風景画など具象の表現に取り組んだ。新作三十六点に加え、一九年にベルギー大使館であった一般非公開の展覧会「リフレクションズ」に出した四点も展示している。
 作品「山道1」「山道2」(いずれも縦五十五センチ、横九十八センチ)は猟師の案内でクマの痕跡をたどり、山中で寝転んで見上げた風景を描いた。モノクロの作品だが、木漏れ日や木々のざわめきが生き生きと伝わる。
 英国の作家オルダス・ハクスリーの小説「島」から連想した一連の作品(縦十八センチ、横十二センチ)は鳥や植物のいるユートピア(理想郷)を表現した。湊さんは「小さな物語、体験によってモチーフの見え方は豊かに変わる。作品をきっかけにいろんな話をしてもらえたら」と願っている。
 今回は福井県越前市の製紙工場などと開発する版画用紙を使用。国連の持続可能な開発目標(SDGs)の観点から、外国産が占める用紙の輸送コストを減らす取り組みだ。「より環境負荷の少ない版画を実現したい。版画人口の増加につながれば」とも話した。湊さんは最終日に在廊予定。
 午前十一時〜午後五時、火曜休み。入場無料。(問)ギャラリーアルトラ076(231)6698

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