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実験用マウスの飼育を自動化 浜松のメーカーが開発

2021年5月20日 05時00分 (5月20日 05時01分更新)
グローバル・リンクス・テクノロジーが開発した実験用マウスの自動飼育装置「ロボラック」と鈴木隆允社長=浜松市中区で

グローバル・リンクス・テクノロジーが開発した実験用マウスの自動飼育装置「ロボラック」と鈴木隆允社長=浜松市中区で

  • グローバル・リンクス・テクノロジーが開発した実験用マウスの自動飼育装置「ロボラック」と鈴木隆允社長=浜松市中区で
  • 2個のケージの上部同士を合わせてマウスを移動させる交換機=浜松市中区で
 電子機器開発のグローバル・リンクス・テクノロジー(浜松市中区)が、研究・実験用のマウスの飼育作業を自動化する装置を開発した。餌やりや給水だけでなく、ケージ(かご)の交換もロボットが行う。研究現場では安全性や動物愛護の観点から厳しい管理が求められており、マウスと人の双方の負担を軽減する飼育方法を提案する。 (中平雄大)
 「学生がマウスの飼育に時間をとられている」。開発のきっかけは約七年前、浜松医大の関係者から寄せられたこんな相談だった。
 大学では学生や若手職員が研究の合間に飼育を担う場合も多い。マウスに過剰な苦痛やストレスを与えないように慎重に取り扱う必要があり、指をかまれたり逃げられたりする危険もある。最近は新型コロナウイルスの影響で施設への入室が制限され、人手や時間の確保が難しくなっている。
 大学や製薬業界向けに商機があると考えた鈴木隆允(たかよし)社長(74)は、まだ実用化されていないケージ交換の自動化を目指した。寝床となる敷き材のおがくずとマウスを分ける必要があるが、行動の読めない生き物相手の開発は想定以上に難航した。「マウスの足は枯れ枝みたいに細い。けがをさせないようにロボットの動きにはかなり気を使った」。騒音や振動を抑えるのも必須条件だった。
 昨年ようやく実用水準に達した装置「ロボラック」は、まず搬送ロボットが飼育中のケージと敷き材を入れた新しいケージを交換機の左右にセット。続いて交換機が飼育中のケージを持ち上げて傾け、ふたに付いているローラーで敷き材だけを下に落とす。最後に両ケージの上部同士を合わせてふたのスライド式の扉を抜き、マウスを新しいケージに移動させる。
 マウスから採血してストレスの度合いを計測したところ、手作業とほぼ同じレベルだった。開発リーダーの増井将人さん(36)は「むしろ装置の方が若干安定している」と話す。装置ではカレンダー予約で作業日時を指定したり、作業記録を管理したりもできる。
 装置は幅二・四メートル、高さ一・九メートル、奥行き八十七センチ。飼育棚にはケージ四十個を収容でき、増設も可能。価格帯は一千万円前後で、仕様によって異なる。
 昨年から代理店を通じて販売を始め、今年三月に千葉大が初めて導入した。経済産業省などが主催する二〇二〇年度の「ロボット大賞」で介護・医療・健康分野の優秀賞に選ばれ、問い合わせも来ているという。鈴木社長は「今後はケージの洗浄など新たな需要も出てくる。他の企業と組んで対応していきたい」と意欲を見せる。

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