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女のティールーム

信頼関係の築き方 心を込めて お辞儀する

会社員 一色 美佳さん(川崎市中原区)

水彩連盟準会員 福沢益由己

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 ずいぶん前になるが、携帯電話ショップで働いていたころ、連日のハードクレームにおびえる日々を過ごしたことがある。発売された機種に立て続けに障害が発生していた時期に、運悪く入社してしまったのだった。開店前に、起動しなくなった携帯電話を持って外で待っている客がいるという日もあった。会社としての対応もまずかったため、週に一度ほどの割合で、誰かが罵詈雑言(ばりぞうごん)を浴びせられたり、物を投げつけられたりする。日々ロシアンルーレットの気分で、不眠に陥った。

 一社員の立場でこの状況は変えられないが、客をむげにするわけにはいかない。最初から不機嫌ないちげんの客と、どうやったら信頼関係を築けるかを考え、とにかく真摯(しんし)に対応するという気持ちをお辞儀で表すことに決めた。

 客と対面したら、真っすぐ目を見つめて少しほほ笑む。名乗ってあいさつをし、指先まで意識をしてゆっくりと深く丁寧に、心を込めてお辞儀をする。これだけのことだが、自分でも驚くほど効果があった。客側も、こちらも礼を持ってという意識が働くのだろう、一瞬で空気が引き締まるのを感じた。

 今の仕事でも、お正月は数少ない、改まってのごあいさつの機会で、毎年逃さずこのお辞儀を続けている。年を追うごとに、相手との距離が近づいたと感じる。昔取ったきねづかにいまだにお世話になっているなぁと感慨深く思う。

 

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