トップ > 中日新聞しずおか > 静岡地域版 > 地域特集 > 女のティールーム > 記事一覧 > 記事

ここから本文

女のティールーム

ラッキーの思い出 16年間家族に寄り添う

無職 大石 安代さん(吉田町)

水彩連盟準会員 福沢益由己

写真

 「ラッキー」というのは以前実家で飼っていた犬の名前。ラッキーが実家へ来たのはよちよち歩きのころ、目がきらきらしていてとてもかわいい。ラッキーはめいたちと一緒に大きくなった。めいたちが進学し結婚して家を離れるとラッキーの相手はおじいちゃんになった。散歩に行くときも畑に行くときもいつも一緒。二人ともとても幸せそうだった。しかしおじいちゃんが病気で寝たきりになると、ラッキーは小屋にいることが多くなった。

 ラッキーはおとなしい犬だった。ほえたことがない。ある時「ラッキーはほえ方を知らないんじゃないの」ときくと義妹は「屋敷に野良猫が入ってきたときほえたよ」と言った。「ラッキーは野良猫が怖かったのかもね」と笑った。ラッキーはおやつが欲しくなると台所のドアを尻尾でトントンとノックする。すると家族が「ラッキーのピー」と名付けたビスケットをあげる。呼び掛けるとうれしそうに尻尾を振る。ラッキーはみんなにかわいがられた。

 おじいちゃんが闘病の末、亡くなった後、ラッキーもがんになった。弟は寒くなるとラッキーを毛布を敷いた段ボールの箱に入れて家の居間に連れてきた。部屋の中は獣の臭いと病気の臭気が満ちていたが、弟の家族はその中で生活し、ラッキーを見守った。間もなくラッキーはおじいちゃんの後を追うようにして亡くなった。ラッキーは十六年間弟の家族に寄り添って生きた。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索