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女のティールーム

憧れのドライブ 初挑戦 心も体もくたくた

雉鳥 てるえさん(静岡市葵区)

書家・画家 重富希公子

写真

 列車を降りた主人公は、駅前のレンタカーの店に立ち寄り車を借りた。そして海岸線に沿ってどこまでも車を走らせていく。そんなシーンをテレビで見てからというもの、ずっと憧れていた。

 十月、家族で福島県に旅することになったとき、チャンスが来たと思った。レンタカーを借りる手続きをした。「何があっても私、運転してみる。やってみたかったんでしょ」。そう自分に言い聞かせた。

 目的地は景勝地「塔のへつり」。初めてのナビが距離を示した。三十四キロ。こんなに長い距離を今まで走ったことはない。静岡市の藁科街道しか走ったことのない私だが、とにかく運転席に座った。

 目的地までは海沿いの道ではなく、山を越えなくてはならなかった。山道が続き、その後トンネルに入る。「いやだなあ。早く外にでたいなあ」と思っているのに、明るくなったと思ったら、またトンネル。揚げ句の果てに三つ目のトンネルは工事中。指示に従い走り抜けるとようやく目的地。心も体もくたくたになる。でも初めてのことに挑戦できた満足も、心のどこかにあった。

 しかし、家に帰ってから娘に言われてしまった。「お母さん、私は死ぬのが怖い。どうか二度と運転したいと言わないで」。後部座席に乗せられた家族は生きた心地がしなかったらしい。ただ隣に座っていた夫は「よく頑張ったよ」と慰めてくれた。

 

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