トップ > 中日新聞しずおか > 静岡地域版 > 地域特集 > お茶漫歩 > 記事一覧 > 記事

ここから本文

お茶漫歩

水磨の様 設計図 業界の救世主に

花井孝 地域活性化戦略研究所長、静岡市清水区在住

 静岡市葵区栃沢に生まれた鎌倉時代の高僧聖一国師(しょういちこくし)は修行した宋(中国)から、製粉工場の設計図といわれる「水磨様(すいまよう)」を持ち帰った。「どんな神様、仏様か」と聞く人がいるので、まずは水磨と様の間に「の」を入れて「水磨の様(さま)」と読んでみたい。

 様は様式、方法で、磨くとはこすってきれいにするととらえる。麦や米を脱穀したり、石臼でひいて粉にすると理解すれば、分かりやすい。

 水を動力源に大量に製粉できる仕掛けを水磨様と呼んでいたらしい。約八百年昔に伝わった福岡・博多では、それを根拠に麺類の古里は福岡であるとアピールしている。

 国師は托鉢(たくはつ)の途中、茶屋の栗波吉右衛門の手厚いもてなしに感謝してまんじゅうの作り方を教えたと言われている。宋から持ち帰った酒まんじゅうの製法とともに「御饅頭(まんじゅう)所」と自ら揮毫(きごう)した看板を与えた。

 その看板は現存している。ようかんで有名な虎屋さんでは、企業理念の象徴として大切に保存されていると聞く。

 近年、博多の和菓子業界では、その看板の「御饅頭所」を刻んだ石碑を国師開山の博多承天寺境内に建立し、まんじゅうの始祖として顕彰している。お茶と和菓子は「茶の子」と呼ばれる親と子の関係。和菓子が売れればお茶も売れる。

 水磨様を再現し、静岡の産業遺産にしたいと活動している。お茶に、お菓子に、麺類のブランド化への仕掛けとして使いたい。八百年昔の製粉工場の設計図が業界の救世主になれば、これが本当の「水磨様(さま)」だ。

 

この記事を印刷する

中日新聞・北陸中日新聞・日刊県民福井 読者の方は中日新聞プラスで豊富な記事を読めます。

中日新聞しずおかの記事はこちら

新聞購読のご案内

PR情報

地域のニュース
愛知
岐阜
三重
静岡
長野
福井
滋賀
石川
富山

Search | 検索