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お茶漫歩

岡部町 玉露の販路開拓へ奔走

花井孝 地域活性化戦略研究所長、静岡市清水区在住

 まちづくりや企業の販売戦略を支援する仕事を三十年続けている。玉露産地の岡部町(現藤枝市岡部町)から、販路開拓の依頼を受けたことがあった。首都圏の有力小売店や問屋へ農家、役場担当者とともに訪問した。

 東京の業者の反応は「うちの玉露は宇治に限っているので…」「そんな玉露の産地は知らない…」と厳しかった。帰りの列車の中では、現実を目の当たりにした生産者のため息と肩を落とした姿があった。

 その時、浮かんだのは“梅栗植えてハワイへ行こう”の合言葉で村おこし成功例として、語られていた大分県大山町(現日田市)の話であった。大山町は平地が少なく、酪農が主産業。生き物が相手だけに家族そろっての旅行などはできなかった。

 世の中は高度成長の波に乗り、海外旅行ブーム。そこで、大山町の八幡町長は構造を変え、農業者が家族そろってハワイ旅行ができるような暮らしを提唱した。

 その例に倣って「東京がだめならパリがあるさ!」と本気半分、冗談半分で励まし続けた。二年後の二〇〇八年、生産者、問屋、職員で構成された「フランス販売チーム」の姿は、パリのシャルルドゴール空港の到着ロビーにあった。

 七日間、パリ市内のさまざまな施設で玉露を飲んでもらったり、茶小売店に売り込んだりした。緑茶に対する日本の常識は、フランスでは非常識であった。多くの国際情報を、玉露産地は持ち帰った。

 

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