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家康くんトップ快走 ゆるキャラGPきょう開幕

◆批判受けるも、盤石の組織票

選挙さながらに家康くん(左)への投票を呼び掛ける鈴木市長=16日、浜松市中区のJR浜松駅で

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 二十一日開幕するゆるキャラグランプリで、ついに念願の天下統一まであと一歩に迫った地元浜松市の「出世大名家康くん」。二〇一三年には市職員の投票が「組織票」と批判される苦い思い出もあるが、ひるむことなく市を挙げての盤石なサポートを受けてトップを突っ走る。

 「グランプリ獲得のため、本日も投票お願いしますのじゃ」。ネット投票期間中、市役所では毎日昼休みになるとこのアナウンスが流れた。

 二位に終わった一三年の反省から、市は前面に出すぎた票獲得活動を控え、代わりに市のイベントなどを請け負うNPO法人「出世の街浜松プロジェクト」が応援団を結成し、市民主導の活動を展開。企業や学校などに投票協力のお願いに回り、市はその手伝いをするという立場に徹した。

 だが、職員の組織票はいまだ強固だ。全職員に土日も毎日投票することを求めたり、家族、友人にも投票に協力してもらうよう通知。さらに、各課の所属長が投票推進リーダーとなり、職員に持っている個人アカウント数を報告させ、毎日投票するよう呼び掛けた。

 鈴木康友市長は選対本部長として街頭演説をしたり、出席するイベントでも協力を求めたり。街には投票を呼び掛けるポスターやラッピングバスなども登場。本年度は大手広告代理店に委託した大会開催費約五千万円に加え、昨年度の約千九百万円を上回るPR費を投じたとみられる。

 家康くんの得票は、終盤に発表された途中経過では五百万ポイント台と、昨年トップの約百万ポイント台を大きく超えていた。同NPO顧問の静岡文化芸術大の磯田道史教授(歴史学)は「市の基礎票はあるかもしれないが、それではとても説明できないほどの票の伸び」と指摘する。その上で、「家康公はかつて敵だった武田軍を取り込むなど、領国外の人を味方にして天下統一をした。家康くんも地元だけでなく、外から票を取り込むのに成功したのではないか」と分析した。

 観光・シティプロモーション課の鈴木和彦課長(55)は「一般の選挙だったら、公職選挙法に触れる部分もあるかもしれないが、ゆるキャラなので」と話す。昨年、国会で問題になった「うちわ」を配ったり、子どもにお菓子を配るなどあからさまな利益供与もあったものの、グランプリを取っても辞任に追い込まれることはなさそうだ。

 市がここまで入れ込む理由は経済効果だ。二〇一一年に優勝した「くまモン」(熊本県)は一一〜一三年で約千二百億円の効果を上げた。浜松市によると、家康くんも一三年から今年までに約六十億円の効果があり、鈴木課長は「今どきこれだけ経済効果があるものはない」と話す。

◆もはや ゆるくない

 全国の自治体がこぞってゆるキャラを立てる状況を、関西学院大の奥野卓司教授(メディア論)は「ゆるキャラは地域に金を落とすシンボルとなり、もはやゆるくない。このままでは各地で似たキャラを量産するだけで、地域の特色をなくす」と批判する。「ゆるキャラ論」の共著があるご当地キャラプロデューサー犬山秋彦さんは「上位キャラはどこも自治体主導の組織票がある。人気があっても、政治的な活動をしないと勝てず、出場辞退するケースもある」とグランプリの現状を語った。

(小沢慧一)

 

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