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魚河岸シャツでクールビズ 焼津市役所10年目

◆信金も追随

涼しげな魚河岸シャツを着て仕事をする職員=焼津市役所で

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 焼津市民の昔からの夏衣装「魚河岸(うおがし)シャツ」を、市役所が夏のクールビズで着用し始めてから今年で十年目。もともと祭りや休日の服として地域に溶け込んでいただけに、初めは「お役所が仕事で着てもいいのか」と戸惑う声も市役所内にあった。発案した当時の担当職員は「ここまで広がると思わなかった」と振り返りつつ、地元発のスーパークールビズの定着を喜んでいる。

 「今年も魅せます!HOTな焼津の心意気、COOLな魚河岸STYLE」「本日、魚河岸日和」。今年も一日から始まった「魚河岸クールビズ」。十年目を記念し、職員から集めたキャッチフレーズを市庁舎のあちこちに掲げた。

 企画の発端は二〇〇五年。当時、商工観光課にいた山下晃さん(43)=現危機管理課=と、農林水産省から出向していた経済部長福島央(あきら)さん(39)=現農水省輸出促進グループ=の雑談が始まりだった。東京から来た福島さんには「港町っぽくて他にない」魚河岸シャツが物珍しく、その年からはできなかったが、次の夏から市役所で着たいと話は膨らんだ。

 焼津で生まれ育った山下さんは「オフの時の服で公務員が働くのに批判はあるだろう」と予想した。当時の戸本隆雄市長は教員出身で「シャツはきちんとズボンに入れる」という慎重派。でも「少しは粋なことをしたい」と説得し、金曜日にはくだけた服装も認めるカジュアルフライデーが普及していたこともあり、一年目は金曜だけの実施が決まった。

魚河岸シャツを着て窓口で接客する職員。地元の船の大漁旗も飾っている=焼津市栄町の焼津信用金庫本店で

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 意外にも市長は自ら好んで着てくれた。市外からも注目され、山下さんは静岡市のFMラジオに生出演。その日は傘を差してもぬれる土砂降りの雨だったが「番組が終わるまでに乾いちゃいました」と速乾性を宣伝した。

 「仕事で着る服じゃない」との声もやはりあった。今も着にくい部署はあるが、当初は様子見だった地元の焼津信用金庫も〇九年から支店や本店営業部の窓口で着用を始め、「焼津らしくていいね」と評判を徐々に得てきた。

 この十年で魚河岸シャツはファッションとして市外でも広まり、ご当地シャツは各地で人気となった。女性向けに襟ぐりを詰めたり、形にアレンジを加えたりと種類が増えてくると、一昨年には「綿100%の手ぬぐい生地か浴衣生地」「魚河岸のマークか文字が入っている」などの定義を決め、伝統ある魚河岸シャツを認定する協同組合ができた。

 「水産が有名なのは知られているけれど、特徴ある服の文化は周りにもなく、これも焼津だと思った」と山下さん。自ら広告塔になるべく集めた二十着以上の魚河岸シャツは、今も大切にして愛用している。

(神谷円香)

 

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