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NIE最前線 教育に新聞を

「戦争」「放射線」を実感 浜松市三ケ日中、島田市金谷中

第二次大戦について学ぶ前に、新聞記事から“身近な戦争”を実感する生徒たち=浜松市北区の三ケ日中で

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 教室の中の授業と日々の暮らしはどう結び付くのだろうか−。とかく現実感覚が希薄となりがちな学習の“入り口”で、新聞を読んでみる。そうすることで学びの実感を得る。生徒たちの生きる力にも通じる、それはNIEの原点だ。

 浜松市三ケ日中学校(同市北区)で社会を教える小川高明教諭(40)は、三年生の第二次世界大戦の学習の導入に新聞を活用した。

 用意したのは、太平洋戦争に関連した五つの記事。特攻隊に志願して訓練中に墜落死した若者や、校庭で射撃訓練に励む女学生、軍用犬として徴用され家族に出征祝いされる犬の話など。

 一見、無関係なそれぞれの記事に共通する戦争という事実と、それが世の中すべてを巻き込むものであることを気付かせた上で、小川教諭はさらに、記事の熟読を生徒に促す。熟読して、心に浮かんだ疑問を書き出させる。

 生徒たちが紙に書いたのは、戦争のイメージとは直接結び付かない「愛犬」だとか、死を強制される特攻隊への「志願」といった活字への疑問や違和感。

 「浮かんだ疑問について、理由を知りたい、分かりたいという自分自身の気持ちを、これからの学習の中で大切にして」。小川教諭は一人一人に、そう呼び掛けた。

 「今の中学生は祖父母でさえ戦争を知らない六十代が大半。直接伝えられる情報量が少なく、実感がない。実感こそが今、生きた学習に求められていると思うんです」

簡易測定器で校内の側溝付近の放射線量を測る生徒たち=島田市の金谷中で

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 「マイクロシーベルトって何?」「放射線と放射能の違いは?」

 東日本大震災のがれき処理をいち早く受け入れ、その安全性をめぐって揺れた島田市。金谷中学校(同市金谷栄町)で理科を教える油井和哉教諭(28)は、二年生を対象にした「放射線教育」に福島第一原発事故の関連記事を生かしている。

 身の回りの放射線を測ってみよう−理科室から、簡易測定器を手にした生徒たちが、グラウンドや芝生の広場、体育館脇の側溝へと駆けだした。学校は浜岡原発に近く、校区に茶農家も多い。目に見えない放射線への生徒たちの不安は少なくないが、その最大の理由は「よく知らない」ということだ。

 「周りが怖いと言うから怖い、安全と言うから安全でなく、記事を読んで、自分なりにどう冷静に判断できるか。中学生には難しいことですが、必要なのは一人一人の正しい知識と問題意識なんです」と油井教諭は力を込める。

 新聞からつかみ取る実感と社会への視点を、学習の中でどう深めていくか。二十五日開幕するNIE静岡大会。全国から集う教師らの注目の中で、両校はともに実践研究を重ねてきた公開授業に臨む。

(編集委員・八木義弘)

=終わり

 

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