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NIE最前線 教育に新聞を

体験を言葉に置き換え 浜松市入野中 修学旅行を新聞に

見出しやレイアウトに工夫を凝らした修学旅行新聞

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 学んだり体験したりしたことは、整理して初めて自分の身に付き、情報発信ができる。浜松市入野中学校(同市西区)で国語を教える夏目聡美教諭(42)がその絶好の機会と考えたのは、生徒にとって刺激的な学び体験となる修学旅行だ。

 三年生二百五十二人が参加した京都・奈良への二泊三日の修学旅行(四月下旬)。古都の歴史や文化に触れた感動を、旅のしおりにぎっしり書き込んで帰った生徒たち。五月上旬の総合学習の時間、一人一人に新聞づくりの一歩となる「情報カード」が配られた。

 大切なのは自分が直接、体験したこと。そして、そこから考えたこと。一人が何枚かに書き出したカードは(1)事実(事前学習で調べたことやパンフレットなどから得た情報)(2)体験(見聞きしたことや、体験で分かったこと)(3)感想(意見や考え、感想。旅の中で作った短歌や俳句)−の三つに分類した。

 「事実」「体験」「感想」のそれぞれで、生徒が最も記事にしたい内容を選択。それを文章に書き起こし、割り付け用紙に下書きしたり、写真や見出しを入れてレイアウトを試してみたり。ほぼ一カ月後、A4判一枚に旅の思い出が詰まった新聞の“発刊”にこぎ着けた。一人一人のオリジナル新聞だ。

シンガポールの留学生(手前)に修学旅行の体験を新聞で紹介する3年生たち(後列)=浜松市の入野中で

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 藤村綾乃さんの「旅のまなび新聞」は、トップ記事に「圧巻 徳川の威厳」の大見出しが目を引く、二条城二の丸御殿の見学記。そのほか、天龍寺・法堂の天井絵の竜をあしらった記事の見出しは「ギロリ! 八方睨(にら)み」だ。「読む人の心を引きつけるように、リズムがいいキャッチコピーのような言葉を考えた」と藤村さんは説明する。

 「文と写真のバランスを工夫した」という滝本珠理さんの目玉記事は、京都の銘菓・八ツ橋の工房体験記。

 トップ記事に簡潔な前文を添え、難解な言葉に注も加えた手塚雄君。そのトップの見出し「大仏より天井」には、東大寺大仏殿の天井の巧みな建築技法への驚きをダイレクトに表現した。

 増田しおんさんの「奈良の魅力新聞」は堂々と社説を掲げ、「日本にはまだ(伝統)文化を大切にしているところがたくさんある。私たちも守っていくべし」と主張する。

 シンガポールから同校に短期留学中で、子どものころ奈良へ旅行したこともあるというセオ・カイシンさん(16)は「私の中学校では発表はみなパワーポイント。手作り新聞は初めて見たけど、とてもきれいで分かりやすい」と話した。

 どんな情報を、どう編集して、伝えるか。情報の活用能力を磨くには、体験を自分なりに整理して言葉にしてみる。生きる力にもつながる言葉への置き換え、それを情報の「価値づけ」とも表現する夏目教諭。「パンフレットや資料をただ書き写すのでなく、自分の言葉で書いている記事が今回、目立って多かった」。新聞づくりが促した生徒たちの成長に、確かな手応えを感じている。

 (編集委員・八木義弘)

 

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