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NIE最前線 教育に新聞を

友達、地域住民 輪になって 「私たちの学校」森町・天方小

 子どもたちに驚いたように大きなカエルが畔(あぜ)に飛び出し、ピョーンと跳んで、また田んぼの中へ消えた。

 山懐の校舎に寄り添う小さな水田に歓声が響く。森町大鳥居の天方小学校。地元の農家が用意した苗を、全校児童が膝まで泥んこになって慣れない手つきで植えていく。田んぼに入って、その作業を写真に撮る木村芽生(めい)さんも、同じ天方小の五年生。今日は中日新聞の夕刊特集「私たちの学校」を担当するカメラマン兼、早乙女だ。

 特集づくりは三年生以上が協力し、国語で「新聞を読もう」の単元を学習している五年生が天方小伝統の米作りの紹介を担当する。六年は「他校との交流」、四年は「自然がいっぱい」、三年は「少人数だからできること」をテーマに原稿を書くことになった。

 町北部の中山間地にある同校は、全校児童が五十五人という小規模校。最近は新東名高速道路の開通で町を訪れる観光客が増えたが、過疎化が進み、人口は減るばかりだ。豊かな自然と、都市部では薄れがちな地域社会のつながりが今も残る一方で、一緒に学び、競い合う仲間が少ないことを、誰より子どもたち自身が知っている。

 田植えから六日後。各学年の原稿が集まり、放課後のふれあいルームで、最上級生の六年女子六人による編集会議が始まった。

 木村さんともう一人のカメラマン宮本颯君が撮った田植えの写真には、苗の世話をしてくれた田んぼの持ち主の早馬博行さん(63)や、孫が学校に通う小沢篤朗さん(72)、高木信行さん(60)らボランティアの人たちも笑顔で写っている。道端では近所の住民が鈴なりになり、目を細めながら作業を見守っている。

 「運動会の障害物リレーだけど、たけちゃんの大張り切りの顔、いいね」

 「その写真、ドーンといこうよ」

 「校舎はどうする?」

 六人が意見を出し合いながら、大きな紙に文や写真の位置を決めていく。窓の外には、こぢんまりしたグラウンド。その向こうの田んぼには、みんなで植えた緑の苗が風にそよいでいる。

 天方小のいいところは?

 「いいとこばっかり」「周りに車が少ないから騒音ないしね」「でも、将来遠くの高校へ通うときは、人が大勢いて少し不安」。六人から矢継ぎ早に答えが返ってきた。

 のどかな自然と学年を超えた友達の輪。お互いに顔を見知った地域の人々。「いい写真があり過ぎて、選ぶのに大変」(三浦真保さん)、「文も、どれも良くて削れない」(鈴木瑠華さん)。真保さんも瑠華さんも、多くの人に知ってほしいと思っている。そんな大好きな「私たちの学校」のことを。

(編集委員・八木義弘)

 東海本社では、コンピューターによる新聞製作を体験しながら学校紹介をしてもらう特集「私たちの学校」の希望校を募っています。問い合わせは報道部=電053(421)6036=へ。

 

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