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NIE最前線 教育に新聞を

意見を相手に伝える 発信してみよう

4人1組で、気になった新聞記事について意見を述べ合う生徒たち=島田市稲荷の島田高で

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 ただ与えられたものを読むのでなく、あふれる情報の中から価値あるものを自分で見つけ、それへの意見を相手に伝える−。島田高校(島田市稲荷)の高島美玲教諭は四月から、「発信してみよう」をテーマに生徒の表現力を高める新聞活用に取り組んでいる。

 NIE実践校指定から三年目。新学期からは新聞切り抜きを三年生全クラスの週末課題にしている。その高島教諭の心の隅にいつもあるのは「切り抜いた記事について、生徒たちは何か伝えたいことがあるはず」という思いだ。

 「生徒にとって、授業はいわば情報の受信です。同時に、自ら発信する力を求められているのが今の時代。読解力を付けるという以上に、新聞の利用価値もそこにあるのでは」

 週一回、三年生の国語の授業で最初の十分間をその実践に充てている。まず、クラス全員が四人一組に。各自持ち寄ったノートには、のり付けした切り抜きの横に(1)記事の概要・要約(5W1Hを意識して)(2)気になったところ(3)それに対する自分の意見(4)語句調べ。キーワードは何か−が書き出してある。それを、一人の声にほかの三人が耳を傾ける形で代わる代わる発表する。

 一人の発言時間は二分。「相手を具体的に想定して自分の考えを伝えるのがポイント。それには四人一組ぐらいが適当だし、短時間で順番に発言して聞き役に回る。要点をまとめて手際よく話す訓練にもなるんです」

 伊豆半島沖に総延長百キロに及ぶ海底活断層がある−との研究結果の記事を選んだのは、山川楓さん。「県民として一番心配なのは地震による津波。ハザードマップを書き換えるなどの対策を」と聞き役のクラスメートに切々と訴えた。

 科学ニュースに関心が強い萩原賢治君は、次世代半導体の旗手として脚光を浴びるシリコンカーバイド(炭化ケイ素)の開発の記事に注目した。従来の半導体をはるかにしのぐ高性能で、応用範囲は太陽光・風力発電、電気自動車などにも広がる。「まだ量産が難しくコスト高だが、省エネ効果が大きいので将来、自分が入るかもしれない企業や大学の共同研究などで普及は早いだろう」と要約をもとに見通しを語った。

 なぜ毎週一回、授業開始前の十分間なのか−。「何ごとも単発でなく、繰り返すことで身に付くはず」と高島教諭は強調する。これまでも新聞各紙の読み比べ、記事の要約、「HAPPY NEWS」への投稿など、さまざまなNIEの形を模索してきたが、日常的に新聞に親しみ、発信力を鍛えるという点で、今ではこれがベストと思えるまでになったという。

 「授業では受信する立場の生徒たちが、思った以上に発信力を持っている。普段、その機会が少ないだけなんです。地道に継続することで、『誰かに伝える』という新聞を読む動機づけ、モチベーションにもつながっていくと思うんです」

(編集委員・八木義弘)

 

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